江戸という幻景 の商品レビュー
「江戸という時代は、近代への根本的な内省をうながさずにはおかれない幻景として、わたしのまなうらでほのかに揺れている」 「人びとの生きるこの世の裏には、このような異界があって、様々な兆しや訪ないとなってこの世に触れ合っていたのだ。」 「なぜ死なねばならぬとこだわるのは野暮の骨頂であ...
「江戸という時代は、近代への根本的な内省をうながさずにはおかれない幻景として、わたしのまなうらでほのかに揺れている」 「人びとの生きるこの世の裏には、このような異界があって、様々な兆しや訪ないとなってこの世に触れ合っていたのだ。」 「なぜ死なねばならぬとこだわるのは野暮の骨頂であった。考えても仕様のないことを考えるのは無意味なこだわりでしかない。こだわりを突き抜けてこそ人は粋であった」 連載ものなので、つらつらしたところもあるけど、 京二さんの言葉は、こころに響く。 美しい日本を知っている人の言葉は、やはり美しい。
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渡辺氏が蘇らせる江戸の人々の生活やコスモロジーを私たち現代人は決して実感することはない。豊かさの質がまったく違うことが分かる。物に満ち満ちた、お金があればほぼ様々なことが手に入る状態が豊かで幸福であるのか、本当の豊かさとは何かを考えさせてくれる著作である。
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江戸時代の人々の生活について、具體的なエピソードを交へながら書かれた本。中でも、江戸時代、離婚は珍しい事ではなく、副數囘結婚するのは普通の事であつた、結婚は家といふ共同體を維持する事を最重要として考へられた、といふことには大變興味を持つた。さすれば、一夫一婦制といふのは西洋近代を模倣して取入れられた事になる。
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2008.06.19 「逝きし世の面影」で、来日外国人たちの遺した記録を渉猟し、幕末から明治にかけての庶民の風景を描いた著者の、その続編とも云うべき、江戸の人々、その文化の風貌を活写する、04年刊
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文春の書評でよかったから、欲しくなってすぐに買いました。でも、読んでみて残念。引用と著者のコメントが不自然な感じだ。学術書だからしかたないんだけど。著者は、自分のコメントを書くために、いろいろな江戸期の文献の引用をしている。それがとても押し付けがましい。江戸時代の奇人伝みたいなの...
文春の書評でよかったから、欲しくなってすぐに買いました。でも、読んでみて残念。引用と著者のコメントが不自然な感じだ。学術書だからしかたないんだけど。著者は、自分のコメントを書くために、いろいろな江戸期の文献の引用をしている。それがとても押し付けがましい。江戸時代の奇人伝みたいなのを引用して、現代はこういう人を評価しなかったが、江戸時代の人は愛して大事にしていた、みたいなことを書いている。でも、もし、こういう人がいっぱいいて、みんなが大事にしていたら奇人伝になんかかかれないんじゃないの。江戸時代の人だって大半は鼻白んでいたと思う。でも、それを面白いとあえて集めたのではないだろうか。その手の変な人伝説って、現代にだってある。家業を勤め上げる話もそうだ。なんのことはない人生を平坦に生きた江戸時代の人というのもそうだ。著者の周りの人はおそらく立派でアカデミックで、人生とは、みたいな感じで生きているんだろうが、大半の人は、江戸時代の人と同じ、小さな社会で小さな幸せの中人生を生きていると思う。というか、本書の著者の書きぶりが、読み手に「ええ、これって現代にもあるよ」と思わせるのだ。 むしろ、著者が、江戸期の人々の心持や生活と現代との乖離を書くと思うのは、現代のわれわれの生活を200年後の人が読んで、なんと素朴な狭い社会で充実した人生とか思うのだろうかということだ。ネットワークであらゆるものがつながっていく未来の人々はわれわれが思うよりはるかに複雑な価値観や人生観を抱くのだろうか。それに興味がわく。 もう少し知らないことを発見をしたかったから、残念だった。 だったら、専門書を読めってことだよね。
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道端で腹を空かして寝ている旅人に飯をあげたり、この場所で寝ると危険だからと宿を世話したり、世間話のついでに裁きを言い渡す大岡越前だったり。江戸という時代は情愛と笑顔に溢れていたんだな。
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