みんなで使おっけ!岐阜のことば の商品レビュー
本書は方言研究の専門家の手になるものだがガチガチの文法説明や難しい専門用語などはなく、岐阜方言に興味をもつ人なら誰でも気軽に読めるようなつくりになっている。 構成は白水社の外国語入門テキスト《エクスプレス》シリーズのように、まず会話文があって、単語の説明、表現という項目で簡単...
本書は方言研究の専門家の手になるものだがガチガチの文法説明や難しい専門用語などはなく、岐阜方言に興味をもつ人なら誰でも気軽に読めるようなつくりになっている。 構成は白水社の外国語入門テキスト《エクスプレス》シリーズのように、まず会話文があって、単語の説明、表現という項目で簡単に文法的なことにも触れられている。小学生にも読めるようにと難しい漢字にはルビが振られ、小・中学生が岐阜方言を更に調べるための様々なヒントやきっかけも示されており、地域学習のテキストとしても用いることができるように配慮されている。 因みに、岐阜方言に関する意識調査の結果については以下のようなものがある。 「生粋の県人とそうでない人に、土地のことばが好きかどうかを尋ね、その結果を五段階に分類したデータによると、両方とも下から二段階目にランクされている。両方とも岐阜県方言に対して、きびしい目を向けている様子がうかがわれる」 (月刊『言語』2003年1月号、p.71 大修館書店) この結果は南の愛知の方言、特に名古屋圏のことばや、関東方言と関西方言の2大勢力に挟まれた地域であるということとの関連があるのだろう。方言ということばの問題だけに留まらず、岐阜県を取り巻く地理的・歴史的な要素が複雑に絡み合った結果なのかも知れない。
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