ヒンドゥー教とインド社会 の商品レビュー
インド社会におけるヒンドゥー教の思想変遷についての本。基本的な事項をほぼ時系列順に説明してくれているのだが、独特の用語が多く、慣れないために目が滑る。一通り理解するためには、繰り返しの通読が必要だと痛感させられた。インドは難しい。
Posted by
インド社会については、なかなか分かり難い部分があり、ヒンドゥー教もその一つ。 キリスト教やイスラム教のように国を跨り広がることがない、という意味で、土着の慣習と密接に繋がっていることは想像に難くない。 また、インドから仏教、ソロアスター教、ジャイナ教、シーク教等が生れたことを考え...
インド社会については、なかなか分かり難い部分があり、ヒンドゥー教もその一つ。 キリスト教やイスラム教のように国を跨り広がることがない、という意味で、土着の慣習と密接に繋がっていることは想像に難くない。 また、インドから仏教、ソロアスター教、ジャイナ教、シーク教等が生れたことを考えると、インドは思想、哲学の発祥の地ともいえ(西洋哲学にも大きな影響を与えている)、その観点でも興味深い。 この一冊は、基礎編であり、知識習得という意味では十分ではないのだが、関連する本を複数読む中で、理解を蓄積するしかないのだろう。 以下引用~ ・現代インドが直面している課題は、人口急増や貧困・環境破壊の問題にせよ、民族問題・宗教対立にせよ、われわれが地球規模でかかえている諸問題とほぼ等しい。インドはまさに世界全体の縮図なのである。インドの諸問題への対処・処理の方法が、まさに未来の人類の帰趨を占う側面を有するといっても過言ではない。こうした意味において、インドは、人類の歴史の最先端を走っており、正と負の両面で、「現代」を体現し象徴する国家とすらいうことができる。 ・グプタ朝のころまでに、のちのヒンドゥー社会に大きな影響力をおよぼす聖典類の成立・編纂がほぼ完了する。 二大叙事詩「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」、「マヌ法典」や「ヤージュニャヴァルキヤ法典」などの重要なダルマ・シャーストラ(古法典)類がでそろい、主要なプラーナ(古潭)文献の編纂もこの時期までになされた。 ダマル・シューストラは、ヒンドゥー教徒に生活の指針を与えるものである。各ヴァルナの義務や職業、通過儀礼、行動様式が、バラモン中心主義的な見地から事細かく規定され、違反した場合の罰則、浄化儀礼、讀罪法なども定められている。 ・仏教の衰運にとどめを刺したのはイスラームである。 13世紀という時代は、イスラームが北インドに数々の征服王朝を樹立しつつあった時期に相当し、インド史学で古代と中世とを分ける境界線でもある。このころを境に、仏教は故地インドにおける地歩を失うことになったのである。仏教が、新しい社会運動と連合して復活してくるのは、はるか20世紀半ばを待たなければならない。
Posted by
「ヒンドゥー教とインド社会」山下博司著、山川出版社、1997.04.25 90p ¥765 C1322 (2017.12.30読了)(2009.07.20購入)(1998.10.25/2刷) 【目次】 インド―その多様性と現代的意義 1 古典文化の形成とカースト制度 2 バクテ...
「ヒンドゥー教とインド社会」山下博司著、山川出版社、1997.04.25 90p ¥765 C1322 (2017.12.30読了)(2009.07.20購入)(1998.10.25/2刷) 【目次】 インド―その多様性と現代的意義 1 古典文化の形成とカースト制度 2 バクティの興起とヒンドゥー思想の展開 3 近代ヨーロッパと「インド」 4 インドの近代化とヒンドゥー教改革運動 ☆関連図書(既読) 「マハトマ・ガンジー」蝋山芳郎著、岩波新書、1950.03.10 「ガンディー主義」ナンブーディリパード著・大形孝平訳、岩波新書、1960.05.20 「ガンジー」坂本徳松著、旺文社文庫、1965.. 「ガンディー 反近代の実験」長崎暢子著、岩波書店、1996.04.05 「ガンジー自立の思想」M.K.ガンジー著・片山佳代子訳、地湧社、1999.06.10 「ガンディー『獄中からの手紙』」中島岳志著、NHK出版、2017.02.01 「ネール」木村毅著、旺文社文庫、1965.. 「インド・パキスタン現代史」蝋山芳郎著、岩波新書、1967.02.20 「南アジア 地域からの世界史5」辛島昇著、朝日新聞社、1992.04.20 「インド」上野照夫著、カラーブックス、1963.04.01 「不可触民」山際素男著、知恵の森文庫、2000.10.15 「アラハバード憤戦記」牧野由紀子著、アイオーエム、2001.05.10 「ヒンドゥー・ナショナリズム」中島岳志著、中公新書ラクレ、2002.07.25 「インディラ・ガンディー」筑摩書房編集部、筑摩書房、2015.12.17 「インドで考えたこと」堀田善衛著、岩波新書、1957.12.19 「インド行脚」藤原新也著、旺文社文庫、1982.07.23 「全東洋街道(上)」藤原新也著、集英社文庫、1982.11.25 「全東洋街道(下)」藤原新也著、集英社文庫、1983.01.25 「ビジネスマンのためのインド入門」マノイ・ジョージ著・鶴岡雄二訳、新潮OH!文庫、2002.06.10 (「MARC」データベースより)amazon おびただしい言語・多様な民族から成るこの国は、3000年にもわたって文化的・社会的に一つの統合体を形成してきた。インドの人々を一つにまとめ上げてきた原理とは一体何か。歴史を追って探っていく。
Posted by
本書はインダス文明からバラモン教、そしてヒンドゥー教の成立から近現代のヒンドゥー教へとつながるインドのヒンドゥー史となっています。とくにヨーロッパと出会い、そして支配されるようになったあとのヒンドゥー教指導者たちの対応は、苦悩に満ちています。積極的にヨーロッパ文明(キリスト教に基...
本書はインダス文明からバラモン教、そしてヒンドゥー教の成立から近現代のヒンドゥー教へとつながるインドのヒンドゥー史となっています。とくにヨーロッパと出会い、そして支配されるようになったあとのヒンドゥー教指導者たちの対応は、苦悩に満ちています。積極的にヨーロッパ文明(キリスト教に基づく精神など)を受け入れ自己を改革するか、受け入れるならばどこまでかなど、同じくヨーロッパに支配されることとなるイスラーム社会にも見られることです。しかしイスラーム教では一方で「ヨーロッパに支配されたのは神の教えを正しく実行していないから」とする原理主義も生み出しましたが、ヒンドゥー教ではそれが表立ってみられない(少なくともイスラーム地域ほど社会に影響を与えていない)のは、ヒンドゥー教が多神教だからなのでしょうか?
Posted by
- 1