しばてん の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
山口県立図書館のHPで知り、図書館で借りた。 「こいつは、しばてんの うまれかわりや ないやろか。」 たろうが ないたのは、うまの とめきちを みたときだけ。 しりっぺたには、ひづめの かたちの あざがあり、すもうが すきで つよい。 (土佐の話。この絵本の母体・手刷り絵本『しばてん』は、作者が1962年に自費出版したそうだ。) 表紙・裏表紙をみて、「なんじゃこりゃ」とつぶやいてしまった。 古事記しかり遠野物語しかり、異質なものは物語のなかで妖怪などにされてしまう。 道徳的だと思うけれど、作者の「あとがき」が良かった。 こういう気持ちは、言葉にするととたんにうそくさくなってしまうから、心にとどめておきます。 絵はダイナミックです。 た「し」ませいぞう、さんです。
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面白くて楽しくて煌びやかな世界だけが絵本の世界じゃない。 重くて深くて悲しくて…そんな世界だって、ある。 この重さや深さを、少しでも子供にも感じて欲しいなぁ。 本当に大切にしたい作品です。
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田島征三著・絵、絵本「しばてん」を読む: 「読書の森」から、「絵の中のぼくの村」という本を、拝借してきた時に、絵本も、一冊、併せて、読むことにした。土佐の民話に出てくる相撲好きの「物の怪」である「しばてん」の生まれ変わりであると信じられていた太朗という子供の物語で、飢饉に苦しむ村...
田島征三著・絵、絵本「しばてん」を読む: 「読書の森」から、「絵の中のぼくの村」という本を、拝借してきた時に、絵本も、一冊、併せて、読むことにした。土佐の民話に出てくる相撲好きの「物の怪」である「しばてん」の生まれ変わりであると信じられていた太朗という子供の物語で、飢饉に苦しむ村の民のために、長者の屋敷に、打ち壊しに入り、その力強さを存分に発揮して、村人に、米を分け与えて、飢えから救ったにもかかわらず、結局、取り締まりの役人に、村人の告発によって、捕縛されてしまうという何とも、民衆の持つ無責任さと太朗という差別され続けてきた人間の無垢の善意が、対比的に、描かれていて、子供と云うよりも、大人に成長した後の子供にこそ、読まれて然るべき絵本かも知れない。著者の田島征三は、「絵の中のぼくの村」という本の一節で、少年期に、過ごした土地である土佐の民話をベースにしているものの、実は、被差別部落出身であろうと思われる「センジ」という転校生のことを、念頭に置きながら、描いたと、述べているが、家に、遊びに来たこの数少ない友達に対して、大人の世界の「ある理由」から、家に、挙げられず、結局、やがて、センジは、どこかへ、行方知れずに、再び、転校して行ってしまったらしい。その時に、自らの内面に感じた心の傷は、ゆっくりと、癒えてゆくけれど、その時に、負わせた傷は、いつまでも癒えることなく、その傷口からは、真っ赤な血が、今でも、流れ続けているに違いないと、、、、、どんなに、長い時間が経過しようとも、忘れ去ることが出来ないと、、、、、、。 大人には、時々、子供と一緒に、絵本を読み返してみることは、大切なことかもしれない。子供に読み聞かせると云うよりも、自分自身に、問いかける必要があろうかと、そんなことを感じる絵本である。
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力強い絵と豪快なリズム感 幼児に遠慮、容赦のないストーリー 怖がるかと思われた3歳児もインパクトが 勝ったようで意外に気に入っていた
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日本各地に言い伝えられているであろう数々の妖怪のうちのひとつ、しばてん。そのしばてんに似ている男の子、たろうのはなし。人間身勝手さ、醜さがあらわれている。かわいらしいとは対極の、力強い、土くさい絵。こういう絵本もこどもに伝える必要があると思う。
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「ムラ社会のどろっとした閉塞感」と「責められない悲しい悪意」を覚えた絵本。 後味よろしくないしトラウマになりかねない怖さですが、 幼心に、村人達を悪人と責められないことを感じて それが一番悲しかったです。 善悪二元論派や、甘い優しさにあふれたオハナシが好きな方にはオススメできない...
「ムラ社会のどろっとした閉塞感」と「責められない悲しい悪意」を覚えた絵本。 後味よろしくないしトラウマになりかねない怖さですが、 幼心に、村人達を悪人と責められないことを感じて それが一番悲しかったです。 善悪二元論派や、甘い優しさにあふれたオハナシが好きな方にはオススメできない…
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