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水墨 創世記 の商品レビュー

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2012/04/15
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旧約聖書のテキストを水墨で視覚化した異色の一冊。  旧約聖書の冒頭を飾る『創世記』を旧約・オリエント学者の月本昭男先生が訳出し、画家・作家の司治が水墨画でそれを表現した異色の一冊。  天地創造から人間の創造、そしてアブラハム、イサク、ヤコブと族長たちの物語……。極めて西洋的なるもののオリジナルと、東洋美の極致ともいうべき水墨画がかくもみごとに出会い、そして調和し、人間を感動させることには驚きを禁じ得ない。  一枚一枚の作品には、人間そのものが鮮やかに浮かび上がってくる。そこには西洋があり西洋がなく、東洋があり東洋がない。人間そのものの真実が存在する。「キリスト教は一神教だから云々」とか「東洋は多神教だから云々」という議論が虚構にすぎないことを諭してくれるようだ。 「僕は無宗教」と自認する司氏は岩波書店刊行の旧約・新約聖書の新訳に装丁に関わることで聖書との縁を深めながら、今回の作品へと至ったという。 「僕にとり、絵画と文学の間に境界はない」(司) ページをめぐるとただただ圧巻される。読み物としても、そして見るものとしても手許に置きたい一冊だ。

Posted byブクログ