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ムッソリーニ(上) の商品レビュー

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2016/09/18

「ファシストの宗教にイタリア人が与えた合意は、信頼と理性から発したものだった」――。ムッソリーニとイタリアの群衆が向かった、新しい人間による新しい社会の栄光と悲惨。

Posted byブクログ

2012/09/03
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※このレビューにはネタバレを含みます

1.ニコラス・ファレル『ムッソリーニ (上・下)』白水社、読了。全体主義を考える上で無視できないファシズムの生みの親・ムッソリーニだが、どうもヒトラーの影に隠れがちなのが現況。本書は、ムッソリーニの人となり、そしてその体制を丁寧に辿る第一級の評伝。大著ながら必読の一冊。★4 チャーチルは左翼の暴力よりファシスト支配のほうがましだとして彼を「ローマの天才」と呼んだ。無血で権力を掌握し、社会政策で一定の成功を収める。ユダヤ人狩りに血道をあげるドイツとは対照的。政治家としてムッソリーニの優秀さがよく分かる。 ムッソリーニの擁護か?と見紛うがこれは早計。既存のイメージ自体が歪んでいるから、著者は丹念にその実像に肉迫する(だからネタも多い)。同時にファシズム擁護・肯定論の欺瞞も浮かび出す。ともあれ情報量が多い。認識を一新する材料として良質な一冊。 大部の訳書なので読むのに時間がかかりますが、出来合いの評価を超えて自身でどう判断するかのいい練習になると思います。訳者・柴野均さんの刊行後の手記が信州大のwebにありますのでご紹介。→  http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/arts/prof/sibano_1/2011/05/40960.html 翻訳のやり方とか興味深いです。了。

Posted byブクログ