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虹への旅券 の商品レビュー

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2023/09/30

昭和49年4月から翌年1月まで女性週刊誌『ヤングレディ』に連載された、この時期の作者の作品としては異色作と云える。主人公が若い女性というのもそうだし、トラベルミステリーであり、ロマン派推理小説でもある。ハッピーエンドが少なく、いつもラストは苦いのが作者の作風だが、本作は希望のある...

昭和49年4月から翌年1月まで女性週刊誌『ヤングレディ』に連載された、この時期の作者の作品としては異色作と云える。主人公が若い女性というのもそうだし、トラベルミステリーであり、ロマン派推理小説でもある。ハッピーエンドが少なく、いつもラストは苦いのが作者の作風だが、本作は希望のあるエンディングになっている。それも連載誌のカラーを考慮したものだろう。次々と起こる事件に、最後まで息がつけない一作。 恋人に捨てられ傷心を癒やすため、団体での海外旅行へ出かけるヒロイン裕希子が、旅行中に様々な事件に遭遇する。同行の旅行者たちもいずれ曰くつきの人々であり、次々と勃発する不可解な事件に振りまわされるはめに。一方、日本では殺人事件の捜査が進行していて、セールスマンの日比野が自室で殺害された事件の捜査に那須警部が当たっていた。明白な動機を持つ男が当日に日比野宅を訪問していたことで、簡単に解決に向かうと思われた捜査は思いのほか難航する。そんな中、日比野宛の一通の手紙から、那須捜査班が手繰り寄せたのが「穂積裕希子」という名前であった。 旅行で巡る欧州の風景が傷心旅行に花を添える一方、恋情のほつれ、憎しみと愛が交錯し、最後に意外な犯人が明かされる。完成度と娯楽性の高いミステリーロマンだ。

Posted byブクログ