ニューヨークのヴァイオリン職人 の商品レビュー
ヴァイオリンは400年前からほとんどその工法や形を変えていないと言う。そして最も素晴らしいとされるヴァイオリンは300年前のものである。その間ヴァイオリン作りは何をしていたのか。技術を伝えることで精いっぱいだったのか。「伝統は相続するものではなく、もしそれを望むならば、大変な労苦...
ヴァイオリンは400年前からほとんどその工法や形を変えていないと言う。そして最も素晴らしいとされるヴァイオリンは300年前のものである。その間ヴァイオリン作りは何をしていたのか。技術を伝えることで精いっぱいだったのか。「伝統は相続するものではなく、もしそれを望むならば、大変な労苦を払って手に入れねければならない」。T・S・エリオットの詩に出てくる言葉だ。進歩すればよいものもあるが、進歩できないほど完全なかたちにたどり着いてしまったものもあろう。本書の読者は、300年前に進歩を止めたものを今ある素材を使って再現するという偉業を、工房作業の詳細を追体験しながら味わうことができる。(岡ノ谷一夫)
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著者はトランペット奏者。ある時ヴァイオリンの音色に魅了され、ヴァイオリン職人のサム・ジグムントーヴィチと出会う。彼は史上最高の弦楽器といわれているストラディヴァリウスの製作に挑戦しようとしていた。木材選び、ニスにまつわる伝説、演奏者と音色を作り出すやり取りなど、普段見られない工房...
著者はトランペット奏者。ある時ヴァイオリンの音色に魅了され、ヴァイオリン職人のサム・ジグムントーヴィチと出会う。彼は史上最高の弦楽器といわれているストラディヴァリウスの製作に挑戦しようとしていた。木材選び、ニスにまつわる伝説、演奏者と音色を作り出すやり取りなど、普段見られない工房の裏側を垣間見る内容にワクワクする。
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NY在住のヴァイオリン職人とその仕事の一端を、トランペット奏者がまとめた一冊 なんとなく名前は聞いたことのあるストラディバリ、それの、実物と比べても遜色ないくらいのコピーが作れる、という職人。こうも堂々と「コピーを作る」と言う世界というのも珍しい気がする。そのコピー製作の模様と...
NY在住のヴァイオリン職人とその仕事の一端を、トランペット奏者がまとめた一冊 なんとなく名前は聞いたことのあるストラディバリ、それの、実物と比べても遜色ないくらいのコピーが作れる、という職人。こうも堂々と「コピーを作る」と言う世界というのも珍しい気がする。そのコピー製作の模様と同時に、実際のストラディバリがどんな人物だった(らしい)のか、当時のヴァイオリンがどう取り扱われたのか、現代の職人は何を悩んでいるのかが書かれている。職人の世界は「紙一重」のところがあるけど、それが読んでいて伝わってくるので楽しい。 宮大工の西岡常一氏が「過去の技は、その寺そのものを見て、学ぶ」というようなことを言っていた(と思う、だいぶ言葉は違っているけど)けど、ヴァイオリンも似た世界だな。
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