アンドレとシモーヌ の商品レビュー

シルヴィヴェイユ【著】,稲葉延子【訳】

2011/11/26

雑誌「FACTA」のブックレビューで紹介されていた。他にも面白そうな本がたくさん紹介されているから、少しずつ読みたいな。
http://facta.co.jp/　山口義正　ジャーナリスト　オリンパス問題

日本の大手メディアは国家権力が言っていることをそのまま書く「客観報道主義」に陥りがち。公権力の発表を待たないと何も書けない状況に陥っている。戦争から何も学んでいないんだな。

現代ビジネス　http://gendai.ismedia.jp/

2011/08/17

十代の頃の私のアイドルの１人・シモーヌ・ヴェイユ。大人になってしまった今は、その矛盾も見えてしまったけれど、目にするとやっぱり手にとってしまう。
残念ながらシモーヌについてはあまり語られていない印象。それよりも、彼女を形作ったヴェイユ家について、シモーヌの兄アンドレについて割かれている。そして何より、著者である、「シモーヌの死後、その両親の慰めとなった」「シモーヌにそっくり」のアンドレの娘であるシルヴィ・ヴェイユが、大きな才能を持った父と叔母を持つことによって背負ったものがこもっているように感じた。

2011/07/30

親愛なるシルヴィ・ヴェイユ様
まず、あなたに謝らなければなりません。
かって、あなたが何度となく経験し相手の不作法さが許しがたかったこと。それは、パーティで紹介される人々のほとんどが、作家シルヴィ・ヴェイユではなくあのシモーヌ・ヴェイユの姪であることに涙を流さんばかりに感動し、貴方に握手を求めることでしてたね。
私が、日刊紙の新刊広告で『アンドレとヴェイユ』に目がとまり、すぐに予約したのも、私にとっては無名な作家シルヴィ・ヴェイユの作品としてではなく、本のタイトル『アンドレとヴェイユ』に反応したからでした。
私は、あなたの叔母様シモーヌ・ヴェイユが大戦後のヨーロッパの思想界に与えたもの、その深淵な影響に身の程も知らず触れるほど恥知らずではありません。
関心は、彼女の思想性ではなく、幼い頃の兄弟げんかや、食事時の一家の会話や学生の頃の恋バナでした。
お父様が、大の日本びいきで、来日のおみやげに「日本タオル」を
持ち帰り、入浴時に使われていたこと。日本人が電話の応対で「もし、もし」を繰り返すのを真似し、家族に大うけしていたこと。
京都賞受賞のため来日した折、すでに高齢のためあなたの介助を必要とされたアンドレ博士が、主催者が準備したホテルを抜け出し。道筋のネオン煌めくラブホの説明をあなたにしながら、ようやく見つけた食堂で不満ながらエビのスープを食べられたこと。
陛下の謁見を受ける際、博士が声を掛けた大柄な男性が黒沢明監督だったこと。どれもこれも新鮮な驚きでした。
天才を受け継いだあなたの文才で書かれたこの作品から知りえた知識は、お二人へのさらなる関心を呼び起こすものでした。
今、所有している『シモーヌ・ヴェーユ著作集』と『カイエ』の再読。
『アンドレ・ヴェイユ自伝　ある数学者の修行時代』を予約すること。
また、読むべき本が増えたようです（笑