スカイラインとともに の商品レビュー
私が前から注目しお話したいと思っていた別の課の女性課長が、社内の勉強会の講師となり、話を聞く機会があった。その人は冒頭、「夢を描いて仕事をしていますか」と尋ねてきた。そして、櫻井眞一郎さんのエピソードを紹介しはじめた。 この本では、櫻井が“ファミリー”の前で6代目スカイラインの...
私が前から注目しお話したいと思っていた別の課の女性課長が、社内の勉強会の講師となり、話を聞く機会があった。その人は冒頭、「夢を描いて仕事をしていますか」と尋ねてきた。そして、櫻井眞一郎さんのエピソードを紹介しはじめた。 この本では、櫻井が“ファミリー”の前で6代目スカイラインのコンセプトストーリーを語る場面が登場する。 櫻井はあえて技術や予算などの数字上の説明はしない。それは想像力(創造力)に枷(かせ)をはめるものであり、自由な雰囲気で意見を出し合い、それぞれのいい所を持ち寄り高めていくというファミリーとしてのチームワークを生かせないものだから。 櫻井はどんなクルマづくりを目指すかを、コンセプトとしてゆっくりと語る… …男女がいる。ともに30代か。お互い仕事が充実し多忙な毎日を過ごす。二人は日光の湯元温泉に行こうとするが、仕事の都合で女が先に着いて待つ。男は女が待つ日光へと、スカイラインを走らせる。夜の闇。おりしも、戦場ケ原は猛烈な嵐の中。 そのとき、地を切り裂くような雷鳴とともに強烈な稲妻が走り、稲妻に鮮明なスカイラインのシルエットが浮かび上がる。コンセプトは題して「戦場ケ原の稲妻」! その女性課長は目をうっとりさせて(そう見えた)、櫻井さんの仕事ぶりを語った。 仕事で夢を描くというのは一見、抽象的でふわっとしていてあやふやに聞こえるが、櫻井さんやその女性課長が言いたいのは、そうではない。夢というのは、他人と共有できるものであり、膨らませられるもの。つまり、他人に伝えられるイメージを形作り、それを伝えることで、共有した夢(目標)に向かってお互いに「いいもの」の像を描き、自分の持ち味を生かして最高級の成果に突き進むことができる。 そこには押しつけやお仕着せの仕事はない。そして、自分の個性をぶつけることができる。チームワークと個人プレーのいいとこ取り。なんて素敵な職場であり、仕事仲間なんだろう。櫻井さんが「わが人生」を語るのに、自分だけでなくファミリーの個性あふれる面々について多くを語っているのがかっこいいし、あこがれる。 業績と評価などの眼先の数字に汲々とし、結果、既存のワク内で与えられた分だけの仕事に甘んじ、日々なぞるような仕事の日々を送る、昨今の“仕事人間”(私のような)は、空いた時間に読んでみるといい。夢を描くような仕事の仕方って、夢想的とか非現実的じゃないってことがわかるから。 (2013/9/14)
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