1,800円以上の注文で送料無料

緩和医療と心の治癒力 の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/07/24

著者は緩和ケアを実践する黒丸尊治医師です。 本書は著者が実践する医療を紹介したものです。 黒丸氏は内科、外科、産婦人科、小児科など多くの科で研修を受けた後、心療内科を学びます。 その後、2002年から「緩和ケア」を担当するようになり、今に至ります。 本書はそうした経験を踏まえ...

著者は緩和ケアを実践する黒丸尊治医師です。 本書は著者が実践する医療を紹介したものです。 黒丸氏は内科、外科、産婦人科、小児科など多くの科で研修を受けた後、心療内科を学びます。 その後、2002年から「緩和ケア」を担当するようになり、今に至ります。 本書はそうした経験を踏まえて緩和ケアでの実情を語ったものです。 著者の元には、死を目前にした老若男女が訪れます。 彼らに持論を押し付けず、説教や説得もせず、患者自身の希望に寄り沿いながら医療を実践していました。 そうした優しさが込められたエピソードは感動的でした。 特に終盤での、耳鼻科医師が自身の専門である末期の咽頭癌に罹患したエピソードが印象的でした。 死がほとんど確定していましたが、ある経験をきっかけに奇跡的な治癒へと向かいます。 それは 「あなたはこの手で多くの人を助けてきましたね。  でも今度はあなたが助けてもらう番なのですよ。」 というヒーラーの言葉でした。 内心で西洋医学に疑問を抱きながらも治療に臨んできた耳鼻科医にとって、自分が認められたと感じた瞬間だったようです。 その後は不思議なことに癌は進行せず、10数年を経た今も元気にしているとのことでした。 本書はこのように著者が実践する終末期の医療の様子が描かれていました。 患者にやさしく寄り添い、穏やかな死を迎えられるように心を砕く姿には心揺さぶられました。

Posted byブクログ