懐かしい家 の商品レビュー
小池真理子さんの小説は、読んでいてとても心地よく、癒される。上品で、自然に流れる文章に引き込まれ、気付くと物語の世界に自分が居る感覚・・何度も味わっている。大好きな作家さん。
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異形……読んでいる途中からザワリ、ザワリと異形の存在を感じる。だけど読むのをやめられない!! 「ミミ」「神かくし」「車影」がお気に入り! 「康平の背中」の『まんじゅう、くれい』は強烈キャラ! 夜中暗い部屋で読むのがオススメ。 ぜひ〜
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死の気配漂う怪奇譚。底冷えする気味悪さ。 蛇口:世にも奇妙な物語原作(死を暗示) 懐かしい家:実家で死者と暮らす。 ミミ:訳有り少女にピアノを教える。 康平の背中:不気味/神隠/首/車影/口吻
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切ない話とホラーのバランスがとても良かったです。 世にも奇妙な物語で放映された話もあって、懐かしい気持ちになった。康平の背中が不気味で好き。全体的に妖気じみていていいですね。楽しんで読ませていただきました!
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小池真理子さんのホラー短編小説アンソロジー。初出誌は巻末に記載されているが、年代が全部は載っていない。「1991年」と「2011年」のものがあることだけは分かるので、その辺りの頃、と推測するしかない。 とても良い作品集だった。抑制された堅実な文体で淡々と醸し出される「恐怖の」...
小池真理子さんのホラー短編小説アンソロジー。初出誌は巻末に記載されているが、年代が全部は載っていない。「1991年」と「2011年」のものがあることだけは分かるので、その辺りの頃、と推測するしかない。 とても良い作品集だった。抑制された堅実な文体で淡々と醸し出される「恐怖の」イメージが、美しい。もう少し文章が磨かれれば、泉鏡花とまでは行かないまでも彫琢されれば、これは立派な芸術作品になると思う。 ただ一つ、「蛇口」だけは、ストーリーは悪くないが文章が良くなくて、1991年の作だからもしかしたら作者のごく初期のものなのかもしれない。 「ミミ」のような、一種の詩情さえ湛える形象の美しさを、更に「言葉」それ自体の輝きと共に構築できれば、それは素晴らしい芸術になるだろう。
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他のアンソロジー読んで、小池真理子さんのホラー短編をもっと読んでみたくなったので。落ち着いた柔らかい筆致で描かれる日常に、すっと異常や狂気が滲んでいる。全体的には怖さは控えめで、喪失と愛情をテーマとした感傷的な作品群となっており、切なさにぐっとくる短編集。 特に『ミミ』や『懐かし...
他のアンソロジー読んで、小池真理子さんのホラー短編をもっと読んでみたくなったので。落ち着いた柔らかい筆致で描かれる日常に、すっと異常や狂気が滲んでいる。全体的には怖さは控えめで、喪失と愛情をテーマとした感傷的な作品群となっており、切なさにぐっとくる短編集。 特に『ミミ』や『懐かしい家』では、失った者への愛情や哀しみが丁寧に描かれる。 『蛇口』は、不吉な蛇口が現れると誰かが死ぬというホラー色の強い作品。唯一男性の語り、似た系統の作品集の中でアクセントを出している。
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ホラー作品の路線は大別すると、絶叫系のテンションの高いホラーか、秘めやかに忍びよるような静かなホラーに分かれると思うのですが、この『懐かしい家』に収録されている短編たちは概ね後者の印象。怖さ・不気味さの中にどこか格式高さというか、上品な怖さや哀しさ、憂いや寂しさを感じた気がします...
ホラー作品の路線は大別すると、絶叫系のテンションの高いホラーか、秘めやかに忍びよるような静かなホラーに分かれると思うのですが、この『懐かしい家』に収録されている短編たちは概ね後者の印象。怖さ・不気味さの中にどこか格式高さというか、上品な怖さや哀しさ、憂いや寂しさを感じた気がします。 ピアノ教室の先生である語り手と、老婆とその孫を描いた「ミミ」 夫と別居し、かつて住んでいた家に一人暮らしすることになる女性を描いた表題作の「懐かしい家」 設定は違えど、生者と死者の距離が曖昧になり、そして生死の概念を超えた人の孤独を浮き彫りにします。 周囲の人間が死に瀕した時にだけ現れる蛇口。その蛇口が見えてしまう男を描いた「蛇口」は、描写の不気味さが見事だったなあ。この蛇口をひねると流れてくる水は、その人間が死ぬか、それとも生き延びるか教えてくれるのですが、蛇口から流れる水の描写の不気味さがたまらない……。 タクシーに乗った人物をどこかへ連れて行ってしまう「車影」 ふとした瞬間に生に疲れ、死に誘い込まれそうになる怖さを、一つの物語として上手く昇華されていると感じました。語り手の涙が話に、また一つ情緒を与えてくれているように思います。 「くちづけ」は夏目漱石の『夢十夜』を読んだときのようなイメージ。物語のイメージはところどころでしか掴めないのですが、そのイメージと繊細で美しい文章にわけが分からないながらも引き込まれます。 そして語り手の目覚めと共にその夢の儚い美しさと、人を愛してしまったゆえの哀しさの対比が心に残る。 この短編集の中でも特に短い短編なのですが、美しくも切ない幻想的なイメージが、強く印象に残りました。 別段派手な話という感じではないのですが、いずれの短編も切り取り方、見せ方、そして文章の技巧が光った短編集だったと思います。
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突然、壁に現れる蛇口をひねるとおどろおどろしい液体がほとばしり、身近な人の死を伝える「蛇口」 これが一番、怖かった。小池真理子ってこんな作品もあるのね。
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読書会で小池真理子ぜひ読んでみて!と強くお勧めされたことがあり、初めて読んでみました。ものすごくよかった。どの作品も引き込まれた。ひとつ読み終えると、すぐ次のを読みたくなったけど、夜寝る前に読むのは、怖くて無理Σ(゚д゚lll)怖いけど、憧れる場面ばかりでした。懐かしい家は、映画...
読書会で小池真理子ぜひ読んでみて!と強くお勧めされたことがあり、初めて読んでみました。ものすごくよかった。どの作品も引き込まれた。ひとつ読み終えると、すぐ次のを読みたくなったけど、夜寝る前に読むのは、怖くて無理Σ(゚д゚lll)怖いけど、憧れる場面ばかりでした。懐かしい家は、映画異人たちの夏を彷彿させられた。あれもすごくよかったな。怖いけど、そっちに行ってしまう感じ、切ない。哀しく愛しい。
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小池真理子さん、初読み! ホラー短編集ですが、全くグロい描写もキモイ描写も突然何かが襲ってくることもなく、じんわりと怖い。映像は静かで薄暗くてノイズが入っている感じ、BGMは無い。おお、これぞジャパニーズ・ホラーなのか。『ミミ』,『神かくし』,『首』,『蛇口』,『車影』,『康平の...
小池真理子さん、初読み! ホラー短編集ですが、全くグロい描写もキモイ描写も突然何かが襲ってくることもなく、じんわりと怖い。映像は静かで薄暗くてノイズが入っている感じ、BGMは無い。おお、これぞジャパニーズ・ホラーなのか。『ミミ』,『神かくし』,『首』,『蛇口』,『車影』,『康平の背中』,『くちづけ』,『懐かしい家』の8編収録。 『神かくし』と『蛇口』は途中でオチが見え始めてしまったけれど、文体とじめっとした雰囲気が嫌いじゃない。純粋に面白いと思って読んだのは、不思議な少女がピアノ教室にやってくる『ミミ』、死別した愛する人がやってきたのにこちらを向いてくれない『康平の背中』。 そして『くちづけ』は大変短いのになんだか美しくて声に出して静かに読みたくなります。絵を描きたくなります。夢十夜を思い出すのは私だけではないはず。 続編も読もう。
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