壁 の商品レビュー
「ヨナ」 出だしは、淡々とした文章に皮肉やユーモアが効いていて、面白い。 ヨナの若々しさ、人の好さ、純粋さが感じられる。 お人よしが過ぎて、生活は混乱しているが、その中でも作品を生み出し、人を引き付ける力があった。 ずっと描いていたいという言葉と裏腹に、ヨナは描けなくなってゆく。...
「ヨナ」 出だしは、淡々とした文章に皮肉やユーモアが効いていて、面白い。 ヨナの若々しさ、人の好さ、純粋さが感じられる。 お人よしが過ぎて、生活は混乱しているが、その中でも作品を生み出し、人を引き付ける力があった。 ずっと描いていたいという言葉と裏腹に、ヨナは描けなくなってゆく。 才能が枯渇する苦しみがありありと描かれていた。 「魔法のチョーク」 今までに数回読んだことのある作品。 部屋に閉じこもって、自分の世界を作ろうとするアルゴン。 しかし、それらはやはり、まやかしでしかなかった。 まるでひきこもりの人の精神状態を読んでいるようにも思えた。 『「人生」という名の家』 たどり着いた屋敷は、まるで人間がすっと消えてしまったかのように、存在のぬくもりと形跡だけを残している。 まるでお化け屋敷のようだが、それは彼の人生をなぞっている。 母親の死を迎えた後のアニチェートの人生はまだ空っぽで、彼はどういったものでそこを飾り埋めるのだろうか。 人には、運命というか個性というか、人生を貫く一つのカタチがあるのかもしれない。 まるで、一つの曲がその人の人生に繰り返し響くように。 そして、その自分の人生から逃れることは出来ない。 気が付けば、時は流れ、過ぎ去ったものは戻ってこない。 死は決して敵ではなく、安らぎである。 最後のメッセージに、生きてゆく辛さと煩雑さが、癒される思いがする。 彼は幻惑から目覚めるだろう。 それでも、彼の中でこの館は息づいているのだ。
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・カミュ「ヨナ」◎ カミュ好きだぁ。ドライなユーモアがある。 芸術家ヨナはひたすら画を描く。評判をあつめると弟子や批評家が家にこぞってやってきて、それでも家のほんの狭いスペースで画を描く。評判が悪くなると今度は孤独が。 常に開かれていたはずのヨナであるのに、彼は本当に孤独みたいだ...
・カミュ「ヨナ」◎ カミュ好きだぁ。ドライなユーモアがある。 芸術家ヨナはひたすら画を描く。評判をあつめると弟子や批評家が家にこぞってやってきて、それでも家のほんの狭いスペースで画を描く。評判が悪くなると今度は孤独が。 常に開かれていたはずのヨナであるのに、彼は本当に孤独みたいだ。 ・安倍公房「魔法のチョーク」○ 壁に描くとなんでも出てくる魔法のチョーク。ドラ〇もんみたいなやつ。 少々おもしろい。 ・サヴィニオ「『人生』という名の家」 忘れた。
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カフカのような、非現実的な世界感。「名前を失って、世界から追放される男」「欲望と妄想が肥大化した世界に連れ込まれそうになる男」と、自分が生きていた世界から唐突に突き放される不安。 かなりドロドロした内容なのに、「明るく」「軽く」感じてしまうのは、ものすごい筆者の筆力ゆえでしょう...
カフカのような、非現実的な世界感。「名前を失って、世界から追放される男」「欲望と妄想が肥大化した世界に連れ込まれそうになる男」と、自分が生きていた世界から唐突に突き放される不安。 かなりドロドロした内容なのに、「明るく」「軽く」感じてしまうのは、ものすごい筆者の筆力ゆえでしょうか。社会への痛烈な批判が露骨にあらわれる部分があり、一方で何を言いたいのか掴みきれない部分がある。 何度も読みたくなる作品です。
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カミュ、安部公房、サヴィニオ。 それぞれ作風も違うが、「壁」にまつわる物語。 『魔法のチョーク』よかった。 のめり込んでいく。最後は「そりゃそうだ」と思った。
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