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岳人(クライマー)列伝(文庫版) の商品レビュー

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2018/08/09

(01) 絵も濃い(*02)が,物語も濃い.8話の短編からなる高山の物語は,ヒマラヤやヨーロッパアルプスが舞台となっている.中には日本人も登場し,北アルプスが舞台となった遭難物語もある.いつもギリギリの登山であるから,生と死がテーマであり,パーティーの絆や,単独であってもその家族...

(01) 絵も濃い(*02)が,物語も濃い.8話の短編からなる高山の物語は,ヒマラヤやヨーロッパアルプスが舞台となっている.中には日本人も登場し,北アルプスが舞台となった遭難物語もある.いつもギリギリの登山であるから,生と死がテーマであり,パーティーの絆や,単独であってもその家族との絆などが描かれており,全体としてヒューマンな人間賛歌であり,山の讃歌となっている. 変わったところでは,シェルパの物語がある.日本人も含めアジア色の中に欧米の登山が混じっている.その意味では,自然と文明,とりわけ近代的な文化が,のこりわずかな未踏の自然にどのように切り込んていったかを描いた漫画であり,アジアはちょうどその,近代の過渡的な設定として,必要だったのかもしれない. (02) ブラックの使い方もあるが,トーンが濃いせいもあるし,小さめなコマへの書き込みの多さ,擬音の大きさ,髭や眉などの顔の濃さがあるのかもしれない.それも山や自然の濃密や酷薄と無関係ではないだろう.

Posted byブクログ