原発労働記 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2011年刊行。命を懸けた3K職場、福井県美浜原発、福島第一原発、敦賀原発の点検下請業務への潜入レポ(1978年時)。過ぎた無知を痛感。東日本大震災や福島の原発事故に関し自衛隊や警察等の献身的行動を称賛する声は大きく、それ自体は否定しない。が、平時こそ気づかれない貢献が隠れている。本書が暴く不安定就労かつ危険が隠蔽された職場は、給与や就業面では安定している自衛隊等とは全く対照的。電力会社職員とも差別を感じさせる待遇の中、驚く程の低給で原発の管理維持・点検業務の実務に勤しむ彼らに光が当たってもおかしくない。 「テレビに映ることも、人々に感動を与えることも、称賛されることもなく、コンクリートに囲まれた原子炉内の暗い暑い現場に入り込み、…放射能をその全身に浴びながら、ただひたすら黙々と働く下請け労働者たちがいること…労働者…の被ばく作業無くして原発は決して動かない…との重い現実にも想いを寄せていただければ」とのあとがきに感嘆。なお、低線量放射線付きゴミなどの粉塵を口から吸い、内部被爆の危険に晒されているのは、どのような結果を招くか。データを取ろうとしていない政治・電力会社の不実にも注意。 言うまでもないが、原発がクリーンかつ低価格であるというのは幻想(特に後者)で、経済的弱者の犠牲、見えないものを見ていないこと(一次二次を問わず、放射性廃棄物の処理方法がないことも含む)に由来するという意を、さらに強くした。
Posted by
原発へ下請け会社から派遣された労働者の体験を書く.下請けの労働環境が良くない,と言うのはあらゆる大規模事業に言えていることなのか.元請け(電力会社)と下請け職人が受ける被爆検査も元請けのほうが良い設備を使っている(いた?),だとかは衝撃的.「ハイテク」と信じられてきたプラントの周...
原発へ下請け会社から派遣された労働者の体験を書く.下請けの労働環境が良くない,と言うのはあらゆる大規模事業に言えていることなのか.元請け(電力会社)と下請け職人が受ける被爆検査も元請けのほうが良い設備を使っている(いた?),だとかは衝撃的.「ハイテク」と信じられてきたプラントの周辺設備が,人出に頼った管理で保たれていることが分かる.
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 「これでは事故が起きないほうが不思議だ」。 放射能を浴びながらテイケン(定期点検)に従事する下請け労働者たちの間では、このような会話がよく交わされていた―。 美浜、福島第一、敦賀の三つの原子力発電所で、自ら下請けとなって働いた貴重な記録、『原発ジプシー』に加筆修正し27年ぶりに緊急復刊。 [ 目次 ] 1 美浜原子力発電所 2 福島第一原子力発電所 3 敦賀原子力発電所 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
Posted by
30年近く前に書かれた本に加筆修正し、再出版。 技術の粋を集めた原発を支える労働者の記録。 著者自らがまさに命がけで見てきた原発の実態。 技術の最先端であるはずの原子力発電を支える前時代的な労働の実態。約30年後の現在、どの程度そうした労働条件が改善されているのかわからないが...
30年近く前に書かれた本に加筆修正し、再出版。 技術の粋を集めた原発を支える労働者の記録。 著者自らがまさに命がけで見てきた原発の実態。 技術の最先端であるはずの原子力発電を支える前時代的な労働の実態。約30年後の現在、どの程度そうした労働条件が改善されているのかわからないが・・・。 まさに「命を削って働く人々」がいて、わたしたちは原子力の恩恵を受けていたのだな。
Posted by
本書は27年も前のルポルタージュなのだが、著者のあとがきによれば、どうやらその実態は今もさほど変わってはいないようだ。そもそも、土建事業などと同様に、親会社(原電、東電等)から受託された仕事が、子受け、孫受け、ひ孫うけと受け渡されて行き、会社の立場も労働者の立場も、この順序で弱く...
本書は27年も前のルポルタージュなのだが、著者のあとがきによれば、どうやらその実態は今もさほど変わってはいないようだ。そもそも、土建事業などと同様に、親会社(原電、東電等)から受託された仕事が、子受け、孫受け、ひ孫うけと受け渡されて行き、会社の立場も労働者の立場も、この順序で弱くなっていくという構造だ。また、安全管理に対してのあまりにも事なかれ主義的な姿勢には驚くばかりだ。労働災害もなかったことにされ、公式には「連続〇〇日無事故」となる。自分自身のことを振り返れば、目をつぶって来たことを恥じるしかない。
Posted by
今まで読んだ原発本の中で読んで一番恐ろしかった本です。 3分の1程度読んだあたりでまず読むのがイヤになり、半分くらい読んだところで気分が悪くなりましたが、頑張って読みました。 これは30年前の原発でおこっていたことですが、いまでも原発の作業員の方が同じような過酷な労働をさせられて...
今まで読んだ原発本の中で読んで一番恐ろしかった本です。 3分の1程度読んだあたりでまず読むのがイヤになり、半分くらい読んだところで気分が悪くなりましたが、頑張って読みました。 これは30年前の原発でおこっていたことですが、いまでも原発の作業員の方が同じような過酷な労働をさせられていたり、くだらない差別を受けているのだとしたら原発は即刻廃炉にするべきだと思います。 でも廃炉にしたところでその廃炉作業をするのにまた被爆してしまう人が出るのだとしたら‥‥。 この本を読んで以降なんだか電気を使うのがとても申し訳ないような気がしてしまいます。
Posted by
この原著に記されている問題点を真剣に慎重に検討し整備しておけば、もう少しはマシな状況で3.11を迎えたように思う。
Posted by
27年前の原発での下請け労働者を著者自ら働き記したノンフィクション。放射能の影響は現在もまだ未知の段階で人体にどんな影響を及ぼすのか分からない。今も福島原発で多大な被爆を強いられながらも陽の目を見ることがない 労働者たちのことを思う
Posted by
現場作業員の人権や人命の軽視には辟易させられる。 この本では当時の仕事仲間だった人たちの記述は、削除されている部分が多いということなので、そこが残念。 原著の『原発ジプシー』を読もう。
Posted by
過去に原発ジプシーとして発表されたものを改題、加筆修正された書籍。 1978年~79年に筆者が原発の日雇い労働者として働いた実体験をまとめて居るので非常に生々しい内容。 日雇い労働者の過酷さは、原発に限った話しではなく、今もなおある社会問題だろうが、その上に放射線被爆と言う大き...
過去に原発ジプシーとして発表されたものを改題、加筆修正された書籍。 1978年~79年に筆者が原発の日雇い労働者として働いた実体験をまとめて居るので非常に生々しい内容。 日雇い労働者の過酷さは、原発に限った話しではなく、今もなおある社会問題だろうが、その上に放射線被爆と言う大きな問題も加わって深刻さは更に増している。 当時より様々な技術は進歩しているだろうから、そのまま現在には当てはまらないかとは思うが、原発を運営する会社、国、人間の本質は何も変わってはいないだろうから、原発に対する安全神話が初めから今まで一貫して実のない虚構、妄言の類だったと言えるだろう。 福島原発の事故を期に本書を読んだ。 今後、原発の代替となるエネルギーが実用化されるまで、原発は無くならないだろう中、原発の今後の運営をどう考えるかの一つの情報として必読の一冊だと思います。
Posted by