PAPA&CAPA の商品レビュー
KFJで写真を見ている内に写真集を出したくなった~スペイン内戦で共和国軍に加わり,ハンガリー出身の写真家キャパに出会い,親子同然の付き合いを始める。キャパは革命で祖国に居られなくなり英国でカメラマンを目指したのだった。武器よさらばのキャスティングにヘミングウェイは画策し,キャパを...
KFJで写真を見ている内に写真集を出したくなった~スペイン内戦で共和国軍に加わり,ハンガリー出身の写真家キャパに出会い,親子同然の付き合いを始める。キャパは革命で祖国に居られなくなり英国でカメラマンを目指したのだった。武器よさらばのキャスティングにヘミングウェイは画策し,キャパを端役に加えようとする。戦場写真家としてキャパは第二次世界大戦でもノルマンディー上陸作戦に向かい,遅れたヘミングウェイはパリに一番乗りを果たす~ロバート・キャパもアーネスト・ヘミングウェイも刹那的・破滅的な人生だな
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表紙に魅かれて手に取った一冊(カバーを取ってもおしゃれなデザイン)。 ヘミングウェイは「老人と海」を読んだことがあるくらい、キャパについては写真を見て「あーこれ見たことある!」くらいの知識しか無かったけれど、とてもおもしろく読めた。 写真の魅力と、文章の良さ、そして二人の人間とし...
表紙に魅かれて手に取った一冊(カバーを取ってもおしゃれなデザイン)。 ヘミングウェイは「老人と海」を読んだことがあるくらい、キャパについては写真を見て「あーこれ見たことある!」くらいの知識しか無かったけれど、とてもおもしろく読めた。 写真の魅力と、文章の良さ、そして二人の人間としてのおもしろさ、かな。 たまたま今はフィッツジェラルドを読んでいるのだけれど、次はヘミングウェイにしようかなと思った。 そしてキャパの写真ももっと見てみたいと思った。
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10年前ニューカレドニアに旅行した後、フォトアルバムを自作したことがある。20枚ばかりの自分では”傑作”と思える写真に短い文章を添えて手作りで何冊か作った。身近な人に配って、「ねえ、一番いいと思ったのはどの1枚?」と訊ねてみた。みんなの答えは思い入れたっぷりの私にとって、がっか...
10年前ニューカレドニアに旅行した後、フォトアルバムを自作したことがある。20枚ばかりの自分では”傑作”と思える写真に短い文章を添えて手作りで何冊か作った。身近な人に配って、「ねえ、一番いいと思ったのはどの1枚?」と訊ねてみた。みんなの答えは思い入れたっぷりの私にとって、がっかりさせられるものばかりだった。 動物好きの女の子は《犬》と《鳥》が写っているのがいいといった。子供好きのおばさんは、《砂浜に無心に絵を描く白人の子供》がいいという。サ―フィン好きの男は《途方もなく青い海》を選び、私とおなじオジさんたち何人かは全員が《堂々と立つトップレスの美人》を選んで「これエエなあ」という。誰も写真そのものとして見てくれないばかりか、作り手側の思い入れなんかには一切興味がないのだった。要するに、自分が元々好きなモノが写っている写真にしか関心がないのだ。 《原住民の伝統彫刻》も《廃墟になった政治犯の牢獄》も誰もいいとはいってくれなかった。 『PAPA&CAPA』に登場する二人は、片や文学で他方は写真で「人間」を捉えつづけた作家と写真家だ。ヘミングウェイは『老人と海』をはじめとする小説で人間を描き続け、キャパは数多くの危険な戦場で戦争ではなくそこに生きる人間を撮り続けた。その二人が出会ってすぐに意気投合したのはうなずける話だ。皆にパパと呼ばれたヘミングウェイのいかにも包容力溢れる風貌を17年にわたり捉えつづけたキャパの写真の数々は、ノーベル賞作家の人となりというか”人間性”を余すことなく伝えている。と同時に、若々しい野心の発露とでもいうべき写真の数々は、写真家としてのキャパ自身の人間性をも如実に表現してしまっている。 文学も写真も、「人間」を描くことを通じて作り手自身の「人間」をもさらけ出してしまう。さらには、作品に触れることでそれを読む(観る)ものの人生の意味まで深めてしまう。そうまで言ったら、あまりに正攻法すぎて、乱暴かもしれない。そう言われたら引いちゃう人も少なくはないだろう。 世には人間嫌いの人間が一定割合はいる。厭世気分で、まっとうに生きている他人が鬱陶しくてたまらん人もいる。そういう人たちには、人間が好きで好きでというヘミングウェイやキャパは有り難くもなんともあるまい。だから、おじさんが裸のお姉ちゃんが好きなのと同じで、「人間」をこよなく愛する者にだけこの『PAPA&CAPA』は素晴らしい一冊なのだ。私自身は、文学や写真のみならず、工芸作品や、ある種の仕事の成果物はすべて、それらの作品を生み出した「人間」に思いを馳せてしまう。その人間が作品に込めた思いを感得しようとする。作品に作り手の「人間」を見出し、ああいいなあと思う。そしてそれが苦悩や苦心の産物であったりすりと、やっぱりそうかあ、オレと同じだなあと納得したりする。それはやっぱり人間が好きだからなのだ。 けれどもやっぱり、そういうのは信じる者だけの信仰みたいなもので、信じない人に強要したり薦めたりはできない。 だから、この本は、人間嫌いな人にはお薦めいたしません。 おねえちゃんの裸と同様に、人間が好きで人間を信じる人は一緒に楽しみましょう。ヘミングウェイもキャパも素晴らしい私たちの仲間です。
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写真の素晴らしさは言うに及ばず、文章も単なる「添え物」にとどまらない水準。ロバート・キャパの本名はエンドレ・フリードマンで、「ロバート・キャパ」は恋人のゲルダ・タローと連名でひねくりだした架空のクレジットだったと。で、そのゲルダ・タローのタローは「岡本太郎」からとったらしい。94...
写真の素晴らしさは言うに及ばず、文章も単なる「添え物」にとどまらない水準。ロバート・キャパの本名はエンドレ・フリードマンで、「ロバート・キャパ」は恋人のゲルダ・タローと連名でひねくりだした架空のクレジットだったと。で、そのゲルダ・タローのタローは「岡本太郎」からとったらしい。94へぇ〜。キャパが撮ったゲルダ・タローの寝姿が何ともいい。パジャマを着て微笑を浮かべながらベッドに寝そべる恋人。寝相が悪いのがまた愛らしい。ほんと、この娘を愛してたんだなって情感が伝わってくる1枚。戦場写真家としてのキャパは「一瞬」に賭けたわけだけれど、ポートレイトを撮るときは長い時間をかけて人間関係を築くことを重視したそうな。道理で「パパ」、ヘミングウェイもいい顔してます。
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