きみに出会うとき の商品レビュー
優れた児童文学に対して授与される米国のニューベリー賞2010年度受賞作品。原題は"When you reach me"で、翻訳担当は、ないとうふみこさん。実は一度読んでみて、その良さが何かピンとこない気がしたのだが、再度読み通してみて、なるほどと唸った。これは...
優れた児童文学に対して授与される米国のニューベリー賞2010年度受賞作品。原題は"When you reach me"で、翻訳担当は、ないとうふみこさん。実は一度読んでみて、その良さが何かピンとこない気がしたのだが、再度読み通してみて、なるほどと唸った。これは二度、三度と読み直さないと、面白さが湧きでてこない作品だ。いわゆるファンタジーSFとでもいうのだろうか、タイム・パラドックスをからめて、70年代後半のアメリカの空気が感じさせる作品だ。読者対象年齢の子供たちの親の世代(60年代後半生まれ)にターゲットが当てられていて、親子で話し合いながら読書が楽しめる仕掛けとなっている。大人には懐かしく、その子供たちには新鮮な体験だろう。主人公はニューヨークに住む母子家庭の12歳のやや勝気な女の子ミランダ。ミランダが通う小学校の友人関係をめぐる人種問題や貧富の差など、社会について考えさせる内容も多く、まさに優良図書といった感じだ。とにかく一度読み終え、納得できないところに考えをめぐらしてから再度読むとその面白さが実感できる作品だ。
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