サトリ(上) の商品レビュー
タイトルに惹かれて古本屋で購入。スパイ映画のように、様々な国の諜報機関が出し抜き合う筋書き。我らが主人公は、武術の達人であり、とある事情で顔を整形しイケメンに変身して中国へ潜入する。日本人の心を持つ男(登場人物の説明より)ニコライ・ヘルは果たして無事に生きて帰ることができるのか!...
タイトルに惹かれて古本屋で購入。スパイ映画のように、様々な国の諜報機関が出し抜き合う筋書き。我らが主人公は、武術の達人であり、とある事情で顔を整形しイケメンに変身して中国へ潜入する。日本人の心を持つ男(登場人物の説明より)ニコライ・ヘルは果たして無事に生きて帰ることができるのか!下巻に進みます。
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書店の平積みコーナーを見てびっくり。東野圭吾の『真夏の方程式』が早くも3刷となって何列もの平積みを作っているのは予想通りとはいえ、ドン・ウィンズロウの『サトリ』上下巻が、まるで村上春樹の新刊のように東野圭吾を超える勢いでいいコーナーをシェアしている風景には驚いた。 実は『サ...
書店の平積みコーナーを見てびっくり。東野圭吾の『真夏の方程式』が早くも3刷となって何列もの平積みを作っているのは予想通りとはいえ、ドン・ウィンズロウの『サトリ』上下巻が、まるで村上春樹の新刊のように東野圭吾を超える勢いでいいコーナーをシェアしている風景には驚いた。 実は『サトリ』を読了したばかり。睡眠時間の確保すら危ういほど自分の時間が持てなくなっている昨今の生活の中で、本を読む時間はさらに持てなくなっている状況を、少しでも改善しようと、昨夜は3時過ぎまで『サトリ』の読破に費やしたのだ。でも最後の20ページが読めずに、体力が尽きて、読み終えたのは今日。 ウィンズロウにしてはクライムでもハードボイルドでもなく、殺し屋青年を軸にした冒険小説なのだがトレヴェニアンという稀代の冒険小説作家の作り出したニコライ・ヘルという東洋人の魂をもった西洋人を書き継いだ(むしろオリジナルの『シブミ』の前日譚になるのだが)傑作国際活劇小説である。 少しもウインズロウらしさが失われておらず、何よりもその語り口がいつもどおりなので、トレヴェニアンを読んだことのないぼくのような読者でも、しっかりしたウインズロウの作品として手に取り、楽しむことができる。 しかしこの平積みの状況は何としたことだろうか。おしゃれな本を求めたやってきた今風のアゲハギャルみたいなまさか字を読むわけではないよな。長谷部の『心を整える』に影響された何かを整えようとする人たちが読む対象とする本でもないよな。実用的という意味では、全然その気配のない作品だし、あえて言えば短い文体による簡潔でスピーディな、ウィンズロウ特有の読みやすさ。そしてクールでライトでしかも迫力のある活劇の語り口。あるいは上下巻を別色に刷ったことによる平積みでの目立ちか。まるで村上春樹の『ノルウェイの森』がクリスマス・プレゼントとして売れた頃みたいに(ノルウェイは赤と緑のどぎついカバーでまるで、ラッピングされたクリスマスプレゼントのように、まさにクリスマスに売り出され、大ヒットとなった。小説の内容は暗くてエッチでちっとも大衆受けするものではなかったのに…)。 いずれにせよ、どんな形であれ、どんな理由であれ、海外の冒険小説が、今こうして目の前に平積みにされ、多くの異人種によって手に取られようとしている。なんだか、わくわくするじゃないか。
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序盤はまず囲碁でいえば自陣の形をつくるところから始まる。定石どおりに打ち始め、盤上は白と黒の石が敷き詰められていく。まだ物語りは始まったばかり。攻めるためにはその前段階が必要だ。 だからこの上巻の半分もその一見ゆっくりとした布石の描写が多く、少しだけスピードが遅い。もちろん後半に...
序盤はまず囲碁でいえば自陣の形をつくるところから始まる。定石どおりに打ち始め、盤上は白と黒の石が敷き詰められていく。まだ物語りは始まったばかり。攻めるためにはその前段階が必要だ。 だからこの上巻の半分もその一見ゆっくりとした布石の描写が多く、少しだけスピードが遅い。もちろん後半に行くに従い、その速度は凄まじい勢いで進んでいくのだが。 盤上は白と黒の石だけでなく、赤や金も入り混じりもはや混沌とした世界に変貌していく。主人公は何色に染まっていくのか、もしくは変化するのか。SATORIとは果たして何色なのか。どのような状態なのか。ヘルの冒険は後半へ続く。
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ウィンズロウの小説は初期のころを除くと最近のハードボイルド、クライムはそれほど買っていないんですが、この小説は面白い。素材はトレヴェニアン、ニコライ・ヘル。十分すぎるアクション・サスペンスだ。 でも、本家『シブミ』は未読。 必ず買って読もうと思いました。
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第二次世界大戦後、日本人の心を持つニコライ・ヘルが主人公。自由と復讐のために中国に潜入する。それぞれの駆け引きが面白かったです。
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私の評価基準 ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版 ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ ☆☆ 普通 時間があれば ☆ ...
私の評価基準 ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版 ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ ☆☆ 普通 時間があれば ☆ つまらない もしくは趣味が合わない 2012.4.6読了 とても、おもしろかった。 読み始めは細かい説明があって、大藪春彦作品のようで、それが気になることもあったが、読み進めていくうちに、そんなことは問題なくなる。 中盤からは、もう愉しい、スリリングな読書が待っています。 よくある007のような内容なんですが、やっばりいいんです。登場人物の描写も典型的ではあるけれども、上手く書かれています。 東洋思想や日本に関する記述には、引っかかる所もあるけれど、私は、シブミを読んでいないので、そこは除けときます 解説によると、続編もありそうなので、是非読みたいです。映像化も、良さそうですね。ウィンズロウの作品では、1番好きかもしれません。 そして、トレヴェニアンのシブミも読まなくちゃ。
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日本人の心を持つ男ニコライ・ヘル。武道や囲碁に長け、刑に処する父親を自ら手を下した為、服役し拷問を受けるがアメリカに暗殺の目的地で助けられ、世話役としてソナンジュと会い愛し合うが、目的の暗殺を遂行し成功するが、裏切りで重傷となるが、助けられ中国奥地にて復活し、違う身分にて、ヴェト...
日本人の心を持つ男ニコライ・ヘル。武道や囲碁に長け、刑に処する父親を自ら手を下した為、服役し拷問を受けるがアメリカに暗殺の目的地で助けられ、世話役としてソナンジュと会い愛し合うが、目的の暗殺を遂行し成功するが、裏切りで重傷となるが、助けられ中国奥地にて復活し、違う身分にて、ヴェトナムへ武器売買の為、潜入し様々な実力者とのかけ引けの中、ソナンジュもサイゴンへ。莫大な金を得て、命を狙われるが、ソナンジュと逃亡を図るがソナンジュは命を落とす。ニコライは逃げ延び、違う身分にて、復讐を誓う。 異なる場面や立場により、文節がきっちりと別れているので、読みやすい。文章量は少なめか。次回作を期待してしまう。
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主人公のニコライ・ヘルは日本の伝統に造詣の深い、『日本的精神』を備えた孤高の暗殺者。囲碁を愛し、戦況を盤面の碁石の動きとして捉え先を読む、といったような心根の持ち主なのです。 ある要人の暗殺依頼を受けたニコライ・ヘルが準備を整えて動き出すまで、物語は気持ちの悪い静けさを漂わせな...
主人公のニコライ・ヘルは日本の伝統に造詣の深い、『日本的精神』を備えた孤高の暗殺者。囲碁を愛し、戦況を盤面の碁石の動きとして捉え先を読む、といったような心根の持ち主なのです。 ある要人の暗殺依頼を受けたニコライ・ヘルが準備を整えて動き出すまで、物語は気持ちの悪い静けさを漂わせながら進みます。 実際、序盤~中盤にかけては、ページを繰る手がとても重たく感じました。 上巻にあたる本作の見どころは、ニコライ・ヘルの暗殺遂行の成否と、裏で手を引くアメリカ、ソ連、中国という三国の思惑にあります。 主人公のヘルは、ハードボイルド小説の私立探偵を恐ろしく強くしたような人物で、内面はもちろんのこと、人物的に非常に好感を持つことができました。 物語に次々と登場するキャラクターの残忍で残虐な性格が、ニコライ・ヘルを暫定的な正義の姿として浮き上がらせているのです。 こうした描き方は、一つの新しいヒロイズムの形であると思います。 本作はトレヴェニアンが発表した『シブミ』の、いわばエピソード・ゼロにあたる作品です。 若きニコライ・ヘルの戦いを、スリリングで静謐な筆致により甦らせてくれたドン・ウィンズロウに感謝します。
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※このレビューにはネタバレを含みます
なんだかんだで『シブミ』の世界ではある。けど、細切れに物語が進んでいく様は近年の(あまり好きではない)ウィンズロウ節。 『シブミ』を読んでいるから、そこそこ楽しめるが、この淡々とした展開は単体で読んでおもしろいと感じることができるのだろうか。 ■このミス2012海外7位。
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トレヴェニアンの「シブミ」は、娯楽小説の傑作でした。この本はその前日譚を、違うヒトが書いたものです。といっても本作の作者、ドン・ウィンズロウも、めっぽう面白い話を書く人で、僕は「二ールケアリーシリーズ」以来のファンです。この組み合わせ、面白くない訳がない。「シブミ」と比べるとちょ...
トレヴェニアンの「シブミ」は、娯楽小説の傑作でした。この本はその前日譚を、違うヒトが書いたものです。といっても本作の作者、ドン・ウィンズロウも、めっぽう面白い話を書く人で、僕は「二ールケアリーシリーズ」以来のファンです。この組み合わせ、面白くない訳がない。「シブミ」と比べるとちょっと軽めなんですが、それでも存分に楽しめました。この本を読んでから「シブミ」を読むのも、かなり贅沢な読書だと思います。
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