中東民主化ドミノは中国に飛び火する の商品レビュー
私たちは民主主義の国家(?)にいるので、中東諸国が民主化の動きをしているのは、何だかよいことのように思えるのですが果たして、そこに住んでいる人はどのように感じているのでしょうか。 中東諸国と言えば、日本にとって大切な原油を輸出してくれている国というイメージしかなく、どのような政...
私たちは民主主義の国家(?)にいるので、中東諸国が民主化の動きをしているのは、何だかよいことのように思えるのですが果たして、そこに住んでいる人はどのように感じているのでしょうか。 中東諸国と言えば、日本にとって大切な原油を輸出してくれている国というイメージしかなく、どのような政治体制なのか殆ど知識がありませんでしたので、この本の解説で少しわかったような気分になりました。 この本のポイントはは、中東での民主化の動き(ジャスミン革命等)が、今後の中国にどのように影響するかについて解説されています。 以下は気になったポイントです。 ・インターネットを監視するソフトを中国やイランで導入されていたが、その監視を突き破ったのは、ツイッターとフェイスブックの普及であった(p29) ・ベトナム戦争を指揮し、あれは「反共の戦い」と錯誤したマクナマラ国防長官は戦後20年経過してベトナムを赴き、あれは共産主義とではなく、ナショナリズムとの戦いだったと悔悟した(p40) ・米国が迅速にエジプトでのムバラク退場を求めたのは、フィリピンの人民の力を演出したマルコス退場劇とシナリオは似ている(p46) ・1979年、米国の同盟国であったイランを原理主義の集団が乗っ取り、アメリカ大使館が蹂躙された、米国最大の中東の拠点が反米政権の牙城になってしまった(p54) ・カダフィは利権がらみの独裁制度を守るために、チャド、スーダンから黒人傭兵部隊を導入して、自国民に血の弾圧を加えてきた(p67) ・リビアは3つの国の連邦であり、実際は部族支配の輻輳した社会、歴史的には、ローマ帝国属領、オスマントルコ、イギリスからイタリア植民地となっている(p73) ・カダフィ軍事力の分割統治のノウハウは、イラクを軍事力と秘密警察で治め、反対派を抑え込んだフセインの管理方式と似ている、普通陸軍(5万人)には訓練をさせず、空軍や3000名の兵士をカダフィと同族出身で固めている(p81) ・バーレーンが戦略的に死活的である意味は、ペルシア湾やアラビア海などを管轄する米海軍第5艦隊の司令部が拠点化していて、中東の横須賀、佐世保の機能を果たしている(p111) ・中東地域では、「王政」などと言っても、砂漠の族長か首長が成り上がって王を称しているのが国体の実態で、唯一の例外が、ヨルダン(ハシュミット王家の末裔がヨルダン国王)である(p117) ・米国正規軍は、イラクとパキスタンが米国は手が一杯なので、リビア内戦に手を出すことができない(p131) ・サウジアラビアな遊牧民の部族を統合するために政略結婚を繰り返したので、皇太子候補となりうる王位継承権保持者は、1000名とも3000名ともいわれる(p135) ・中国はWTOに加盟しておきながらルールを守らない、知的所有権の冒涜ばかりか、レアアース輸出抑制はWTO違反である(p141) ・クリントン国務長官は、「G2というものは存在せず、米国には、日本、韓国、タイ、オーストラリア、フィリピンという強固な同盟国がある」と言い切った(p153) ・人口過剰の中国では大学新卒の半分に職が無いという境遇であるが、3Kなど建設現場では労働者が顕著に不足、珠江デルタ、長江デルタでは電力が来ても工場が稼働できない異常事態となった(p179) ・沿岸部の工場を内陸部へ移動させると、1)労働者の質の悪さ、2)完成品をトラック、鉄道で運ぶ運搬費、倉庫代の追加、で総合的コストは変わらない(p180) ・地政学的に、蒙古族は3つの地域(現在のモンゴル、ロシア領内のモンゴル族自治区、中国の内蒙古自治区)に分断された(p195) 2011年10月23日作成
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