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有田川 の商品レビュー

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2010/03/14

有吉佐和子の「川もの三部作」の一つ。 川に生まれ、川と共に生きた女性の一生を追体験するような作りになっており、有田地方の独特の方言は、読み手にごく自然に情景を思い浮かばせる。 自分の運命をあるがまま受け入れ、健気に生きていく主人公・千代。強さも弱さも併せ持つ彼女の視線の先には、い...

有吉佐和子の「川もの三部作」の一つ。 川に生まれ、川と共に生きた女性の一生を追体験するような作りになっており、有田地方の独特の方言は、読み手にごく自然に情景を思い浮かばせる。 自分の運命をあるがまま受け入れ、健気に生きていく主人公・千代。強さも弱さも併せ持つ彼女の視線の先には、いつも有田川の穏やかな、けれど時に厳しさを見せる流れがあった。 この作品では川に翻弄される千代の運命がテーマだが、主人公の成長とともに変化していく周囲の環境にも注目したい。時代の移り変わりと共に、有田みかんは栽培法や出荷法(舟から鉄道へ)を新しくさせ、缶詰への加工事業を切り開いていく。 また作品に大きな転換をもたらす二つの祭りもポイントだ。糸我の会式と千田祭りは時世を色濃く反映し、千代の心境とは正反対の様相を見せる。有吉佐和子の筆力には感嘆する。 個人的には川守貫太の男臭さがオススメ。惹かれてしまった千代の気持ちも分かる!

Posted byブクログ