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沖縄戦記 鉄の暴風 の商品レビュー

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2020/10/16

▼「鉄の暴風 沖縄戦記」沖縄タイムス社。初出は1950年。2020年9月読了。 ▼ウン十年ぶりの再読。1945年の沖縄戦を、実際に現場で取材して体験した記者を中心に、地元紙の記者たちが戦後に聞き取り取材を重ねて綴った、住民目線の戦記。 ▼第○軍が右翼に回り込んでどうこうした、...

▼「鉄の暴風 沖縄戦記」沖縄タイムス社。初出は1950年。2020年9月読了。 ▼ウン十年ぶりの再読。1945年の沖縄戦を、実際に現場で取材して体験した記者を中心に、地元紙の記者たちが戦後に聞き取り取材を重ねて綴った、住民目線の戦記。 ▼第○軍が右翼に回り込んでどうこうした、というのはほぼ描かれず(それをするには旧陸軍参謀ら、東京組への取材が必要になりますからね)。沖縄各地で住民たちがどんな経験をしたのか、という内容です。「沖縄戦が、戦争が、戦場の住民にとってどんなことになるのか」という視点では、他に類のない孤高の名著。 ▼内容は、もはや「胸をえぐられる悲惨さ」みたいな言葉すら白けて青ざめるようなもの。「人間が人間でなくなる」、というフレーズが何度か出てきます。 ▼「あ、この人たちは、全然私達と同じ普通のひとたちだったんだ。私達も同じ状況になったら、同じようになるんだ」という感覚。 ▼戦後5年目の出版、つまり5年以内の聞き取り取材がベースですから、「なまなましさ」が溢れてこぼれ落ちています。首里陥落以降はラジオも新聞も、紙切れ1枚の情報もない中ですから、よく分からないことはそのまま書かれています。あまりにも断片的すぎる内容もあり、それがまた「ぬめっ」としたリアル感。 ▼自分が、家族が、こんな思いをさせられたとして、戦後史をどう感じますか?ということなんだろうな、と。 ▼「読まなくてもだいたい想像がつく」という人が多いと思います(僕も多くの本でそう感じたりします)。でも、読んだら想像を超えます。はるか斜め上。

Posted byブクログ