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日本は森林国家です の商品レビュー

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2012/01/09

著者は日本の建設業・農林業・地方再生の研究者で、慶應義塾大学理工学部教授、内閣府規制改革会議委員という幅広い経歴を持つ。森林貸出の現場を熟知しており、本書は国産材の輸出競争力の向上を目指す実務家向けの良書といえる。 日本は国土の7割が森林で、自国国土の割合で比較すると中国、ロシ...

著者は日本の建設業・農林業・地方再生の研究者で、慶應義塾大学理工学部教授、内閣府規制改革会議委員という幅広い経歴を持つ。森林貸出の現場を熟知しており、本書は国産材の輸出競争力の向上を目指す実務家向けの良書といえる。 日本は国土の7割が森林で、自国国土の割合で比較すると中国、ロシアの2割、アメリカ、カナダ、オーストラリアの3割(人工林?or 即建材に使える良質材)より優位性があるため、理論的には100パーセントの地産地消が可能という。また、安価な外国産にもデメリットはあり、天候要因などで安定した輸入が望めない年もある。輸入材価格が高騰する年には、戦後の植林材の伐採期を迎える現在の国産材価格の方が安価になるケースもあるという。 しかし国産材にとっての問題点は、産業としてロジスティクスが確立している外材に対して、日本のそれはぜい弱で、木を伐れば伐るほど輸送費がかさんで赤字になるという点である。(これは2010年のISFJで神戸大の石黒ゼミが指摘した点と全く同じで少し懐かしかった。) そこで、国産材を世界で戦える産業に押し上げるために全国の森林組合、あるいは森林貸出を担う農林中金、市町村、農林水産省が成し遂げるべきミッションは、中間土場を整備して国産材の価格推移をモニタリングし、早急に需給一致システムを構築することである。実際に、島根県や宮城県の森林組合ではこうした土場を整備し、仕事のない建設業者を雇用して持続可能な発展モデルを作り上げている。 非常に面白かった。

Posted byブクログ