すばらしい人間部品産業 の商品レビュー
優生学と、医療の“進歩”が合わさると こんな世界になるのだろうか 人間が主に畜産でしていることが、 対人間でなされていく実態 神の領域に踏み込む部分は、倫理とのバランスをとっていく必要があると感じた
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原著は1995年発刊なので、もう18年も前の本なのですが、血液や臓器売買、生殖ビジネス、遺伝子ビジネスなど、人間の人体が売買される状況について詳細に説明されている。価値を貨幣というモノサシでしか測れない人類の辿り着く先が暗示されているようにも思う。
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代理出産、人工授精、臓器移植とエグい最先端医療の実態の紹介。 それだけでも、読む価値がありますが、この本が秀逸なのは終章で、人体を商品化しようと、考える事が出来るようになった、歴史的背景を考察しているところです。 欧米のこの手の本は、必ず歴史の中での位置づけを書き記します。いつも...
代理出産、人工授精、臓器移植とエグい最先端医療の実態の紹介。 それだけでも、読む価値がありますが、この本が秀逸なのは終章で、人体を商品化しようと、考える事が出来るようになった、歴史的背景を考察しているところです。 欧米のこの手の本は、必ず歴史の中での位置づけを書き記します。いつも分厚いモノになるんですが、 これに慣れると日本の新書は、もうね。
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いつの間にか、人間部品産業は、ずいぶん普及しているようです。さまざまな「産業」の例に、そんなことはやめとけよ、と思うものの、自分が当事者になれば、もしかしたらわからない。 「技術」と「倫理」と「経済」のいったい誰が強いのか。「原子力ムラ」と同じような傾向を感じます。 なかなかハー...
いつの間にか、人間部品産業は、ずいぶん普及しているようです。さまざまな「産業」の例に、そんなことはやめとけよ、と思うものの、自分が当事者になれば、もしかしたらわからない。 「技術」と「倫理」と「経済」のいったい誰が強いのか。「原子力ムラ」と同じような傾向を感じます。 なかなかハードな本です。
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福岡氏と阿川氏の対談本「センス・オブ・ワンダーを探して」で少し取り上げられていたので読んでみた。 何ら信仰は持ち合わせていないが、これはもはや「神の領域」ではないか? 人間の尊厳、生命の尊厳というものはどこへ行ってしまったのか。もうこんなところまで科学技術が進んでしまっていると...
福岡氏と阿川氏の対談本「センス・オブ・ワンダーを探して」で少し取り上げられていたので読んでみた。 何ら信仰は持ち合わせていないが、これはもはや「神の領域」ではないか? 人間の尊厳、生命の尊厳というものはどこへ行ってしまったのか。もうこんなところまで科学技術が進んでしまっているという事実に驚愕、というより戦慄に近い。 終盤、人間の商品化を文明の変革を追いながら考察、自由市場主義によって労働や土地が商品化されたことで、加速度的に進んできたという視点は非常に興味深かった。 いずれにしろ、規制や倫理面での判断基準が確立されていないのに、どんどん技術面だけが進んでいっている、既成事実だけが出来上がっているというのが現状のようだ。 取り返しがつかない事態になってしまう前に(ひょっとしたらもう取り返しがつかないのかもしれない、と思うと恐ろしいが)、一刻も早く何らかの基準を確立させることが急務なのだろう。 なんとなくある偏りを感じないではないが、非常に示唆に富む良書であった。 余談。 病気の子どもを救うために妊娠するという話、映画「私の中のあなた」を思い出しちゃったなあ…。
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※このレビューにはネタバレを含みます
近代からの機械論的思考と自由市場主義は、現代に至って「人体の商品化」-血液、臓器、生殖系、そして遺伝子-に及ぶまでになった。 このアイロニーに満ちた反語的タイトル「The Human Body Shop」ー本書は、世界を席巻しなお肥大化しつづける、血液や臓器にはじまり、ヒトの肉体のあらゆる要素を商品化させてきた医療ビジネスへ、根底的問いを放つ警告の書だ。 Part.1 人体と部品のあいだ 1.血は商品か 2.臓器移植ビジネス 3.胎児マーケット Part.2 赤ちゃん製造工場 4.赤子産業 5.生命の種 6.卵子の値段 7.胚は人間といえるだろうか? 8.出産機械の誕生 9.パーフェクト・ベビー Part.3 遺伝子ビジネス 10.遺伝子をデザインする 11.他人に差をつける薬 12.人間の遺伝子操作 13.機械化された動物 14.生命に特許を 15.人間性の独占 16.クローンウシをあなたの手に Part.4 人間部品産業との闘い 17.移動機械と神の見えざる手 18.機械論的な「からだ」 19.人間モーター 20.貪欲主義 21.悪魔の工場 22.岐路に立つ 23.「からだ」についての思考改革
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『すばらしい人間部品産業』というタイトルの『すばらしい』は、かのハクスリーの『すばらしい新世界』と同じ意味を持っている。 現代は、利潤と効率の時代だ。 血液、臓器、胎児、卵子、精子、人間の身体はパーツ化され、それを”部品”として売り買いするばかりか、代理母として、その生殖機能ま...
『すばらしい人間部品産業』というタイトルの『すばらしい』は、かのハクスリーの『すばらしい新世界』と同じ意味を持っている。 現代は、利潤と効率の時代だ。 血液、臓器、胎児、卵子、精子、人間の身体はパーツ化され、それを”部品”として売り買いするばかりか、代理母として、その生殖機能までを売買しているのは周知の通り。パーツはさらに細かく分断され、はては遺伝子にまで商品化は及ぶ。 自分のパーツを「売る」のは、その殆どが経済的に貧しい人々だ。 彼らにとって臓器を売って得る金額は、一生涯に稼ぐ金額よりも大きい。 世の中には子供を持つためには、金銭に糸目をつけないという人も多い。が、そこには強力な経済的な制約が生じる。 そして、生殖ビジネスには常に優生学がつきまとう。 我々はいつから自分たちの身体まで商品として扱いはじめるようになったのか? 著者はその萌芽を、ガリレオとアダム・スミスに見出す。 前世紀、科学は驚くほどの進歩を遂げた。研究者たちはモラルよりも自らの能力の証明を優先させたがった。 そして科学と経済は強力なタッグを組んで邁進してきた。 本来そこには、倫理観や社会道徳がなければいけなかったのに、私たちは立ち止まって考えるということをしてこなかった。 このまま放置すれば、必ず未来はディストピアになるだろうと著者は警告する。 だが、バイオテクノロジーの恩恵をどこまでは許容できて、どこからが許容できないという線を引くのは難しい。 しかし、alll or notingではない。「無償供与と共感」という考え方に立ち戻ることで、私たちは人間の身体、命の尊厳を取り戻せるのではないかと著者はいう。 本書は、前半かなりの部分を割いて、バイオテクノロジーと市場主義がもたらしたおぞましい人間部品産業の現実を明らかにする。これらは怖いものみたさ的な興味を引く。が、本書の趣旨は後半にこそある。 問題提起のみに留まらずに、著者はそれを解決すべき具体的な施策まで言及しているのだ。 ただ、人間の欲望というものは手強いものだ。 この施策がアメリカで法案化されたとしても、人間部品産業の暴走は止まらないかもしれないな、などと思った。
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本書ぜんたいが、「人間は部品のよせあつめではない」という主張に沿っているので、そこに賛同できる人には最高の本だろうとおもう。しかし……訳者のせいか「もう牛を食べても安全か」と言い放った(数量的な議論ではなく、二分法で語る)福岡伸一にかんじたうさんくささと同様のものも感じる。たしか...
本書ぜんたいが、「人間は部品のよせあつめではない」という主張に沿っているので、そこに賛同できる人には最高の本だろうとおもう。しかし……訳者のせいか「もう牛を食べても安全か」と言い放った(数量的な議論ではなく、二分法で語る)福岡伸一にかんじたうさんくささと同様のものも感じる。たしかに、命を商売にしてはならないと思うが、生命科学研究は仙人によって担われているわけでもあるまい。二分法の罠にはめられないよう、注意して読む必要があると感じる。
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人間の命について深く考えさせられました。馬鹿とハサミは使いようといいますが、テクノロジーの使い道は、いろんな視点で考えないといけないと改めて思い知りました。
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