「ポシェ」から「余白」へ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「ポシェ」とはフランス語でポケットを意味し、一般的にもその用途で使われることが多い。しかし建築においては19世紀のヨーロッパにおいて図面の読み取りを容易にするために壁体(マス部分)を斜線で塗りつぶす描画方法として誕生した。広義に解釈すれば3次元空間を2次元的に解読するための手法という意味でも考えられ、筆者はゲシュタルトの地と図の概念を持ち出すことで、地図上に現れる建物とオープンスペースという「反転の連続」を、都市の諸相を知る鍵概念として展開している。 いわゆる近代化は、この様々な場面での反転の結果として進められたように見えるが、最近になって地と図の関係だけでは捉えられない都市のオープンスペース、すなはち「余白」が重要になってきたという。 今まで建築の変化としてしか捉えられなかった近代化を、別の側面から見ることができる。事例も代表的なものが多く、非常に読みやすい。
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