たんかでさんぽ の商品レビュー
穂村弘がラジオでたびたび松田姉妹の短歌を紹介するので気になって図書館で探したら、これがあった。 梨子さん8〜11歳、わこさん5〜8歳までの歌と、お母さんの由紀子さんの歌、お父さんの徹さんの歌が入っている。お父さんのは少し。 ここに歌われているのは幸せな家族。 思春期でぶつかること...
穂村弘がラジオでたびたび松田姉妹の短歌を紹介するので気になって図書館で探したら、これがあった。 梨子さん8〜11歳、わこさん5〜8歳までの歌と、お母さんの由紀子さんの歌、お父さんの徹さんの歌が入っている。お父さんのは少し。 ここに歌われているのは幸せな家族。 思春期でぶつかることもあるけど、根底に家族への深い愛と信頼かあるため、深刻な状況にはならない。 お母さんの歌が多いということは、お母さんが元々短歌を詠む人で、子どもたちはお母さんに教えられて遊び半分で楽しくはじめて、お父さんもじゃあやってみるか、という感じか。 これを読んで平凡な家族のなんでもない歌だと思う人がいるとしたら、その目は曇っていると言わざるをえない。 ここまで素直に続けられる子どもたちの才能、それを上手くサポートする両親ってのが、そもそも奇跡。姉妹の片方嫌になってやめたり、親がつい良かれと介入して子どもの才能を潰したり、親子の仲が拗れたりする方が普通。 そして詠まれた歌は日常の幸福感に満ち溢れている。素直でわかりやすい歌だけど、じゃあ簡単に詠めるかというと、そんなことはない。 わこちゃんの取り合わせはとても上手い。 手ぶくろの中がもぞもぞ暑いから昨日で冬は帰ったんだね ねえちゃんは今日から合宿メロンパン2こ食べちゃったなのにさみしい こんな幸福な日々が歌として残っている、それだけで素晴らしいと思う。自分はこんなふうに子育て上手くできなかったけど、こんな一瞬が確かにあった気がする。 読む方もあたたかな気持ちになる。
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