ニーベルンゲンの歌(前編) の商品レビュー
・第1歌章 ニーベルンゲン(ブルグント)一族のこと ~ 第19歌章 ニーベルンゲンの財宝がヴォルムスへ運ばれたこと
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濱野です。 ドイツ文学に興味がある人も、ない人も読んでいるうちに必ず引き込まれていくはずです。いくつか写本がある中で、この新訳は写本Cをもとに書かれており他のものよりクリムヒルトを擁護する表現が多く見られます。 ニーベルンゲンの歌には前編と後編があり、この前編ではジークフリートが古代ゲルマンの英雄として高く評価され書かれています。 ジークフリートはグンターのために力添えしたことで、王の妹クリムヒルトを妻に貰います。その婚約の場でブリュンヒルトが「あなたのお妹様のことが、私にはとても悲しいのです。彼女はあなたの家来のそばに座っているではありませんか。あのように身分を卑しめられているのが、私には悲しくてなりません。」と言い出します。地位や名誉に固執するブリュンヒルデを象徴する発言だと私は思いました。 この前編のうちに暗殺が起き、その恨みからの復讐が後編へと続きます。人間の愛と復讐がストレートに書いてあり、とても面白い作品です。
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ドイツ発の叙事詩について知りたい場合はホメロス(ギリシア叙事詩)よりこちら。『ニーベルンゲンの歌』はギリシア産の叙事詩に負けず劣らず「健全さ(現代風に言うとクオリティ=作品の質に該当するもの)」の点で優れている。古典を読む際には案外見落としがちな作品の質や叙述の巧みさに目を配ると...
ドイツ発の叙事詩について知りたい場合はホメロス(ギリシア叙事詩)よりこちら。『ニーベルンゲンの歌』はギリシア産の叙事詩に負けず劣らず「健全さ(現代風に言うとクオリティ=作品の質に該当するもの)」の点で優れている。古典を読む際には案外見落としがちな作品の質や叙述の巧みさに目を配ると古典にしかない価値がよりよく見えてくるだろう。ホメロスを読むにも、ニーベルンゲンを読むにも作品の手応えを感じつつ繰り返し読んで理解を深めるのが古典の共通した喜びであると言える。ドイツ古典入門に最適。
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最近オペラに興味を持ち始めたのでWagnerの「ニーベルングの指輪」のもととなった『ニーベルンゲンの歌』を読んでみた。写本がいくつかあるらしくこれは今までの訳本と違い写本Cの新訳だそうである。オペラの内容とはちょっと違うので自分が当初考えていたオペラの予習にという目的にはあまり合...
最近オペラに興味を持ち始めたのでWagnerの「ニーベルングの指輪」のもととなった『ニーベルンゲンの歌』を読んでみた。写本がいくつかあるらしくこれは今までの訳本と違い写本Cの新訳だそうである。オペラの内容とはちょっと違うので自分が当初考えていたオペラの予習にという目的にはあまり合致しなかったが、ドイツの英雄叙事詩とはどういう物かを知る意味では興味深かった。若干訳が読みづらかったので岩波書店のものも今度機会があれば読んでみたい。
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