保育のみらい の商品レビュー
教育学の立場の方からの保育・幼稚園の未来を語るエッセイ集と言ってよいだろう。 印象に残った引用のことば。 臨床心理学者・村瀬嘉代子「子どもの心に近づき、『出会う』には、相手の潜んでいる可能性を信じるこころが必要であろう。さらにその『とき』は移ろいやすく、治療者にどこか手慣れた安...
教育学の立場の方からの保育・幼稚園の未来を語るエッセイ集と言ってよいだろう。 印象に残った引用のことば。 臨床心理学者・村瀬嘉代子「子どもの心に近づき、『出会う』には、相手の潜んでいる可能性を信じるこころが必要であろう。さらにその『とき』は移ろいやすく、治療者にどこか手慣れた安易な気持ちが生じると、知識や技法はあっても、その出会いの『とき』は遠のいていく。」幼稚園教育要領5領域「幼児が互いにかかわりを深め、協同して遊ぶようになるため、自ら行動する力を育てるようにするとともに、他の幼児と試行錯誤しながら活動を展開する楽しさや共通の目的が実現する喜びを味わうようにすること」スウェーデンの思想家エレン・ケイ「子どもと遊べる者だけが、子どもに何か教えられる」「子どもを教育するということは、子どもの精神を子ども自身の手の中に握らせ、子どもの足で子ども自身の細道を進ませるようにすること」(『子供の世紀』から)いずれも至言だ。 豪州の株式会社(ABC発達学習センター)が長時間保育に参入し、7年間で急成長を遂げた挙句に2008年に倒産し、10万人の幼児が影響を受けたとの事例紹介が出てくる。健全な保育の質の保証の重要さを考えさせる実例だ。保育はサービスなのか、教育なのか?「3つ児の魂100迄」のことわざにあるように幼児教育の重要性をも痛感した。一方、この中でワークライフバランス(仕事と生活の調和)、家庭内での経験による教育の低下を招くという二律背反を抱える問題は社会の課題としても考えるべき。
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