1,800円以上の注文で送料無料

「韓国併合」100年を問う の商品レビュー

2

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2013/04/17

 昨今の中国と韓国による、日本の過去の歴史についての強硬な意見を聞くつどに、これをどう考えたらよいのかとつねづね思っていた。  「昭和の戦争」は日本人だけでも300万人とも言われる多くの死者を出した「政治の過ち」であることは間違いがないが、その根源はそれまでの「大陸政策」にあるの...

 昨今の中国と韓国による、日本の過去の歴史についての強硬な意見を聞くつどに、これをどう考えたらよいのかとつねづね思っていた。  「昭和の戦争」は日本人だけでも300万人とも言われる多くの死者を出した「政治の過ち」であることは間違いがないが、その根源はそれまでの「大陸政策」にあるのだろう。  では、「日露戦争」「日清戦争」や「韓国併合」をどうとらえたらよいのか。  その疑問に答えてくれるかと思って本書を手にとってみたが、それぞれの研究者が詳細な研究結果の主張を展開しているのだが、内容は多岐に渡りすぎて、全体が見えるようには思えない。  シンポジウムとはこういうものなのかもしれないが、やはり日本において、これらの問題の「歴史認識」が成熟していない証のようにも感じられた。  いくつか興味深い考察もあった。伊藤博文が韓国併合等の大陸政策に消極的だったとする伊藤之雄氏の本は以前読んだことがあったが、本書ではそれを名指しで批判する研究者が二人もいた。どちらの研究が正しいのだろうか。当時の明治日本で、大陸政策をめぐる他の選択肢があったのだろうか。  また、「朝鮮通信使一行は鶏泥棒」の考察も興味深かった。「朝鮮」が絡むと誹謗のような考察がでてくることが多いが、これも日本の過去の歴史の影響を未だに引きずっているからなのだろうか。  本書を読んで「韓国併合」は、まだまだ論議が足らないことを実感する。成熟した歴史認識には100年単位の時間がかかっても不思議はないとは思ったが、読後感は「疲れた」である。

Posted byブクログ