奇跡の人びと の商品レビュー
いわゆる「障がい」に関する本を少しは読んできたが、日本におけるポストベンションがまだまだおざなりであるというのは本書での指摘も同じ。それだけ日本における医療の問題は大きいということであろう。そしてそれは、その障がいを受け入れる社会や制度が未熟であるということではないか。プリベンシ...
いわゆる「障がい」に関する本を少しは読んできたが、日本におけるポストベンションがまだまだおざなりであるというのは本書での指摘も同じ。それだけ日本における医療の問題は大きいということであろう。そしてそれは、その障がいを受け入れる社会や制度が未熟であるということではないか。プリベンションについても同様であるが、こちらについてはさらに根が深いといえるかもしれない。予防が障害を生むという現実はあまりに皮肉に過ぎる。 一方で、自死が多くなっていること (これはこれで問題であるが) を交通事故死者数と比べることは多いが、交通事故による負傷者数が「交通戦争」と言われていた時代と大きく変わっていないことを初めて知り驚いた。
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思いもよらない交通事故にあったりなとで 障害を持つことになった本人やその家族は いかに その後どんな病院に行くのか、どんな先生に会えるのか、どんな周りの人達に出会えるのかで、その生涯が変わってしまう 「入院を伸ばしたいなら足を切ればいいよ」なんて言うような医者がいたら 怒りを抑...
思いもよらない交通事故にあったりなとで 障害を持つことになった本人やその家族は いかに その後どんな病院に行くのか、どんな先生に会えるのか、どんな周りの人達に出会えるのかで、その生涯が変わってしまう 「入院を伸ばしたいなら足を切ればいいよ」なんて言うような医者がいたら 怒りを抑えられないと思う
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第一部では、「閉じ込め症候群」「遷延性意識障害」「高次脳機能障害」など事故の後遺症による症状の説明とそれに対する医療の問題点を指摘している。 第二部では、予防医学という名の外科的手術のリスクと医療制度全般に対する問題点の指摘や、理学療法や音楽運動療法といった別のアプローチの可能性...
第一部では、「閉じ込め症候群」「遷延性意識障害」「高次脳機能障害」など事故の後遺症による症状の説明とそれに対する医療の問題点を指摘している。 第二部では、予防医学という名の外科的手術のリスクと医療制度全般に対する問題点の指摘や、理学療法や音楽運動療法といった別のアプローチの可能性を紹介している。 脳の障害といっても、一般的に知られている脳卒中のほかにも様々な症状や障害があり、外科的手術以外にも、患者に対する愛情や態度などがいかに大切かを再認識した。 ある患者は、意識があることを数年間認識されなかった。 その間、どれだけ理不尽な扱いや悔しい思いをしたのだろうと想像するだけで胸が痛くなる。 そのような状況は、(医者を含めた)周囲の知識不足がもたらしたものだと思う。患者に無用の苦痛を与えないようにするためには、まずは正確な知識を得ることが大切であり、また、全ての人がそのような障害を負う可能性があることを意識すべきだと思う。 あとがきに著者の遷延性意識障害に対する感想が記されている。 「私たちは日常生活で、心を意識しながら生活しているわけではない。自然とわき上がる喜怒哀楽の感情に従ったり、あるいはそれに理性で逆らったりしながら行動しているのであり、その総体が心と呼ばれるのだろう。ところが脳に障害を負って自分の思うように行動ができない人びとを前にすると、心という機能を意識せざるを得なくなる。言動で人の心を判断する私たちにとって、相手の心が理解できず、不安になるからだ。結局私たちは、「その人には心がない」と考えることで、安心しているだけだったのではないだろうか」
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脳障害をおった人たち、彼らを支える家族、治療にあたる医療現場の人々、さまざまな視点から、脳という臓器をめぐる医療の現在や問題点が提示されていく。機能を欠いた「脳」について考えることが、「人間」「いのち」「こころ」を考えることにつながっていく。 健康であることはもちろん大切だけれど...
脳障害をおった人たち、彼らを支える家族、治療にあたる医療現場の人々、さまざまな視点から、脳という臓器をめぐる医療の現在や問題点が提示されていく。機能を欠いた「脳」について考えることが、「人間」「いのち」「こころ」を考えることにつながっていく。 健康であることはもちろん大切だけれど、欠けてしまった部分から見えてくるものもあることを、再認識した。
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