アウトサイダー・アート の商品レビュー
「アウトサイダー・アート」という言葉は、非常に大まかに言うと、何らかの意味で社会の周縁にいる人々の手になる特異な作品を指す。
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この本で著者が問題にするのは、「アウトサイダーアートとは何か」ではなく、「なぜこの作品はアウトサイダーアートとされるのか」ということ。アウトサイダーアートは何か自足したジャンルではなく、常に外から規定されるものであるため、この姿勢は極めて妥当なものに思われる。 アウトサイダーアー...
この本で著者が問題にするのは、「アウトサイダーアートとは何か」ではなく、「なぜこの作品はアウトサイダーアートとされるのか」ということ。アウトサイダーアートは何か自足したジャンルではなく、常に外から規定されるものであるため、この姿勢は極めて妥当なものに思われる。 アウトサイダーアートの作者(しばしば著者のことばを借りれば患者=芸術家)は決して孤立した、ロマンティックな存在ではなく、発見され、周囲の視線にさらされて制作は行われる。一見独自性そのものである彼らの作品もまた、必ず何らかのコンテクストを持っている。アウトサイダーアートについて考えることは、芸術のオリジナリティを否定し続けてきた、モダニズム以降の創作について考えることである。 アートセラピストでもある著者の目は常に現在から逃げることはなく、好感が持てる。
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原題に付いた副題は - From margins to marketplace - 。これを翻訳では「芸術のはじまる場所」と意訳している。"margin" とは余白、ここではメインストリームに乗らない(未開の?)周辺地帯、いわゆる「辺境」のことか。そして意訳で...
原題に付いた副題は - From margins to marketplace - 。これを翻訳では「芸術のはじまる場所」と意訳している。"margin" とは余白、ここではメインストリームに乗らない(未開の?)周辺地帯、いわゆる「辺境」のことか。そして意訳ではまったく意味合いが無視されている "marketplace" は「市場」である。つまりゲージツは「商売になるかならないか」が肝要という趣旨なのだ。現代、あらゆる芸術にとって、商業主義は避けて通ることに出来ない問題だが、絵画は特に投機目的の金が絡む。 (続きはブログでhttp://syousanokioku.at.webry.info/201107/article_2.html)
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