資本主義の起源と「西洋の勃興」 の商品レビュー
ウォーラーステインは近代世界システムの起源を、16世紀ヨーロッパにおける世界=経済の成立に見るが、その成立の要因については偶然によるなどとして十分な説明は行ってない。本書はこの点について、13世紀ヨーロッパにおける資本主義の成立から論じようと試みている。アクターの内的要素を重視す...
ウォーラーステインは近代世界システムの起源を、16世紀ヨーロッパにおける世界=経済の成立に見るが、その成立の要因については偶然によるなどとして十分な説明は行ってない。本書はこの点について、13世紀ヨーロッパにおける資本主義の成立から論じようと試みている。アクターの内的要素を重視する単純な近代化論などに陥らず、ヨーロッパ中心主義的説明から距離を置くことを何度も強調するが、近代世界システムならびに西洋の勃興の淵源を、13世紀ヨーロッパに成立したとする資本主義に見出す。 細かな歴史叙述には学ぶことも多いが、資本主義の概念設定が不十分なために、全体として何を言いたいのか、というか何が新しいのか私には読み取れなかった。概念を操作すれば何だって説明できるというのは、ウォーラーステインが言っていたことではないか。フランクのウォーラーステイン批判に十分に応えているとも思えない。訳者の山下さんの本の方がずっと面白い。山下さんの言うように日本の近代化をどうとらえるかはやはり鍵だと思う。
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目 次 謝 辞 はじめに 第1章 ヨーロッパにおける商人資本主義の起源をめぐる諸見解 正統派マルクス主義 ブレナー主義 (ブレナー・アプローチ) 近代化論 世界システム分析 時間的前提 空間的前提 中世の都市国家間システム 暫定的結論 第2章 中国...
目 次 謝 辞 はじめに 第1章 ヨーロッパにおける商人資本主義の起源をめぐる諸見解 正統派マルクス主義 ブレナー主義 (ブレナー・アプローチ) 近代化論 世界システム分析 時間的前提 空間的前提 中世の都市国家間システム 暫定的結論 第2章 中国とヨーロッパの政治経済比較 宋代における中国の社会経済革命 (900―1280年頃) 中国とモンゴル 明朝とヨーロッパ ――分岐する径路 ヨーロッパの資本主義に対しての結論 第3章 南アジアとヨーロッパの政治経済比較 南アジア地域における交易と商品流通 南アジアにおける国家と国家構造 南アジアとヨーロッパにおけるエリートの戦略 危険な辺境のインパクト 結 論 第4章 西欧と北アフリカの政治経済比較 北アフリカとスーダン諸国 (紀元1200―1500年頃) 北アフリカの都市、 国家、 地中海における勢力均衡 結 論 第5章 結 論 中世西欧の都市国家はヨーロッパの奇跡だったのか 訳者あとがき 参考文献一覧 索 引
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