十字軍物語(2) の商品レビュー
十字軍の物語、二作目です。前回、第一次十字軍の諸侯らがイェルサレムの他に合わせて四つのキリスト教国家を打ち立てたところで終わりますが、今回はイスラムの反撃によりイェルサレムが奪還されてしまうところで終わります。イェルサレム奪還そのものが思ってたよりも穏やかだったのが救いでした。前...
十字軍の物語、二作目です。前回、第一次十字軍の諸侯らがイェルサレムの他に合わせて四つのキリスト教国家を打ち立てたところで終わりますが、今回はイスラムの反撃によりイェルサレムが奪還されてしまうところで終わります。イェルサレム奪還そのものが思ってたよりも穏やかだったのが救いでした。前作のイェルサレム解放?とは名ばかりの虐殺が酷かったので。。知識人同士で話し合いか出来たのがよかったのか。 物事には流れがあると言われますが今回は劣勢一方のキリスト教徒です。やはりアウェーである以上、戦力不足は否めないのでそれを考えるとビザンツ帝国と協力体制になれない状況で敵方の懐深くに入り込みすぎているのが難しかったのか。 そして改めて二作目を読むといかに第一次十字軍の諸侯の突き進む意思とエネルギッシュさが凄まじかったかが分かります。何もないところから何かを得よう、成し遂げようとするパワーは、生まれた時から当たり前にあるものを維持するよりも遥かに強いようです。 今、並行してファンタジー小説を読んでいますが、そちらと違ってこちらは過去に実際にあったことなのかと思うと圧倒されます。次の3巻で終わりますが、この先どうなるのか結果だけは歴史の授業で知っているけれど、どのような歴史ドラマがあったのか早く読みたいです。
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十字軍とイスラムの英雄サラディンとの戦い。テンプル騎士団、病院騎士団との団結、神聖ローマ帝国、イスラムとキリスト教の対立、シーア派とスンニー派、ハッティンの戦い、聖戦ジハード、当時の歴史の動きがありありと目に浮かぶさまである。
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十字軍国家の成立からサラディンによる奪還までを書いた物語。読み始めると一気に読み切ってしまう迫力。 サラディンは有名だけど、敵には恵まれなかったのだなぁと思った。希代の戦略家ではあるのかもしれないが、その実力のほどは、敵が弱かっただけには、正確にはつかめない。意外と地味な感じがし...
十字軍国家の成立からサラディンによる奪還までを書いた物語。読み始めると一気に読み切ってしまう迫力。 サラディンは有名だけど、敵には恵まれなかったのだなぁと思った。希代の戦略家ではあるのかもしれないが、その実力のほどは、敵が弱かっただけには、正確にはつかめない。意外と地味な感じがした。 ヨーロッパの歴史研究者が意外に偏狭なところも驚いた。宗教的な縛りで、経済的な観点の考察が不足しているなんてね。日本人である塩野さんの本領発揮と思った。自分もこういう形で日本人であることの利点を生かし、キリスト教的読み終わったがらみから自由でいたいと思った。
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第3世代以降の十字軍国家の低迷が記される。低迷の理由は人材難。もはや建国なった十字軍国家にわざわざ臣下に下る理由もないといえばそれまでだか。一方、病院騎士団、聖堂騎士団の成り立ちに紙幅が割かれる。騎士は中世の花。その騎士道精神がイエルサレムを征服するサラディンをも動かす。イスラム...
第3世代以降の十字軍国家の低迷が記される。低迷の理由は人材難。もはや建国なった十字軍国家にわざわざ臣下に下る理由もないといえばそれまでだか。一方、病院騎士団、聖堂騎士団の成り立ちに紙幅が割かれる。騎士は中世の花。その騎士道精神がイエルサレムを征服するサラディンをも動かす。イスラムにも騎士道精神に通じる寛容があったのだ。
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ううむ。塩野婆さん、この巻は中盤以降、筆が走り過ぎているんじゃないの? 繰り返しも多いし、文章もおかしなのが散見されるし(これは編集者の責任も大きいが)もしかして◯◯てきたのでは? ま、ともかく次巻はライオンハートが登場する。楽しみだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
エルサレムを奪ったキリスト教諸国が守りに入るが敗れ去るのがこの二巻。それはイスラム側の反撃を意味し、対十字軍の英雄サラディンの登場を意味する。エルサレムを巡る戦いはここから一つの転換点を迎え、その遺恨が現代まで尾を引きずっている。
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サラディン現る。圧倒的な軍略を持つ天才の前に十字軍は敗れ去る。こうして100年にわたる十字軍のイェルサレム統治は終焉を迎えるのだった。
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塩野七生氏の良い所は、疑問をそのまま放置しないことだ。 この第2巻は第二次十字軍と共に、十字軍と十字軍の間の時代を丁寧に描いている。 中近東に築いた十字軍国家が如何に存続できたのか、華々しい戦闘の記録よりも、地道な努力に焦点を当てているのである。 実に地味であるけれど、塩野...
塩野七生氏の良い所は、疑問をそのまま放置しないことだ。 この第2巻は第二次十字軍と共に、十字軍と十字軍の間の時代を丁寧に描いている。 中近東に築いた十字軍国家が如何に存続できたのか、華々しい戦闘の記録よりも、地道な努力に焦点を当てているのである。 実に地味であるけれど、塩野氏は彼女の疑問を正直にぶつけ、面白くない話を実に面白く描いている。 次のハイライトがサラディンである。 サラディンの名前は誰でも聞いたことがあるであろう。 イェルサレムを占領する時、篭城していた異教徒たちを殺害しなかったことで知られる、アラブの英雄である。 だが、その裏にはバリアーノ・イベリンというキリスト教側の英雄の存在がいたのだ。 そういう、歴史の表には出てこない人々も丁寧に描いている。 塩野氏といえば、ローマ人の物語が有名であるが、途中でダレた感は否めない。 このくらいの長さで収まるテーマのほうが彼女の長所が発揮できる。 ISとの戦闘で注目されているシリア情勢を、過去の歴史に遡って理解するために必須の本である。
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長い。。。図書館から延滞の連絡が来てしまった。十字軍と言えばダヴィンチコードにチラッと出てきたテンプル騎士団。十字軍の存続に欠かせない存在だが、結構やんちゃな騎士団だったらしい。大人っぽいのは病院騎士団。休戦中は医療行為への従事が義務付けられ名家の子息しか入れなかったみたい。イェ...
長い。。。図書館から延滞の連絡が来てしまった。十字軍と言えばダヴィンチコードにチラッと出てきたテンプル騎士団。十字軍の存続に欠かせない存在だが、結構やんちゃな騎士団だったらしい。大人っぽいのは病院騎士団。休戦中は医療行為への従事が義務付けられ名家の子息しか入れなかったみたい。イェルサレムなど侵攻するまではイケイケで進めたけど、その後、その領地を守るのはかなり大変だったみたい。
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第2次十字軍の実にあっけない敗退と、イェルサレムの陥落までを描く第2巻。これまでの十字軍に関する書物が、キリスト教徒の側からばかり語られてきたのの対して、この巻では特にヌラディン、サラディンといったイスラムの側の英雄にも焦点を当てて語られるのは従来にはないものだろう。イエルサレム...
第2次十字軍の実にあっけない敗退と、イェルサレムの陥落までを描く第2巻。これまでの十字軍に関する書物が、キリスト教徒の側からばかり語られてきたのの対して、この巻では特にヌラディン、サラディンといったイスラムの側の英雄にも焦点を当てて語られるのは従来にはないものだろう。イエルサレムを守るキリスト教徒側では、悲劇の王ボードワン4世が光る。
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