江戸をんなの春画本 の商品レビュー
江戸時代の女性観が変わる一冊。 「女大学」や「女今川」を引いて、江戸時代の女性がいかに男性の下に置かれ抑圧されていたかを論じる向きもあるが、実態はそうではなかったのではないかということを、月岡雪鼎が著したパロディ春画本を用いて検証していく。雪鼎の理想とする女性観は、性に積極的で...
江戸時代の女性観が変わる一冊。 「女大学」や「女今川」を引いて、江戸時代の女性がいかに男性の下に置かれ抑圧されていたかを論じる向きもあるが、実態はそうではなかったのではないかということを、月岡雪鼎が著したパロディ春画本を用いて検証していく。雪鼎の理想とする女性観は、性に積極的で夫婦和合を良しとするため、男性が遊郭で遊ぶことには否定的であるのが面白い。女性が閨において男性を悦ばせることを良しとするため、男根主義的とも言え、いわゆるフェミニズム的な内容とは言えないが、幕府が提示する貞節な女性観に真っ向から立ち向かっている。 また権力に対抗する際に、ユーモアの力が非常に大きな力を持つということも論じている。大真面目に書かれた「女大学」や「女今川」、医学書などを徹底的にもじって性的な内容に結びつけているのは、笑いを誘うだけでなく高い教養を感じる。風刺としての笑いが成立していない現代との対比も感じざるをえない。
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