贖罪の1オンス の商品レビュー
平易でいて飽きさせない言い回し、読みやすい文章のおかげで小一時間で読了。何かを待っている時に読むと、うまい具合に時間を忘れられる。 装丁の重厚さと「組織の真実」「迫真の傑作サスペンス」という帯に惹かれて手に取ったのに、内容はイメージと全く違い、犯人像やトリックの妙に胸躍る感じは皆...
平易でいて飽きさせない言い回し、読みやすい文章のおかげで小一時間で読了。何かを待っている時に読むと、うまい具合に時間を忘れられる。 装丁の重厚さと「組織の真実」「迫真の傑作サスペンス」という帯に惹かれて手に取ったのに、内容はイメージと全く違い、犯人像やトリックの妙に胸躍る感じは皆無。犯人が最初から分かっているという点では確かにサスペンスだが、感じるのはドキドキハラハラではなく疲れたため息が出そうなあるある感。 せせこましい保身を図る上司の狡さ、そこだけ抜き出されると戯画的に見えるが「いるいるこんな50代、自分の上司もこうだった」と膝を打ちながら読んだ。本当にいる。都合の悪いことが起こると第一線の人間を呼び立てて洗いざらい説明させた挙句お前が責任取れと袈裟斬りにした50代。初任の自分は怖いとしか思えなかったし、組織とはこういうものなのだと、考えることを最初から放棄していた。「自分さえ我慢すれば」で押し通してしまうと他人にもそれを強いることになると学習できたので、悪夢だったかつての職場も一つの教訓。 だから主人公の抱く宮仕えの悲しさと葛藤が、非常にリアルに感じられて切ない。困難に遭った時に、間違っていると思いながらもとっさに受け身で自分を折ったり曲げたりして、夜「何でこんなことになったんだ」とクダを巻いたり枕を濡らしたりした勤め人に薦めたい一冊。
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とあるおもちゃ屋のお客様問い合わせセンターに勤める主人公が、アホな上司のせいで様々な事件に巻き込まれてしまう。計画者と、それに手助けした実行犯の関係性が見えてこないが割と早めに犯人がわかるのでミステリ初心者にはいいかも。おそらく犯人がわかった上での群像劇として読むのが吉。 おもちゃ屋内部の事情と、それに対する本心をだせない主人公の組織闘争という作りだが、どうにも主人公の優柔不断さが目に余る。
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クレーム処理室というかお客様相談室の実態は、こんなもんだろう。本音と建前の企業とスタッフ、よくわかる気がした。 内容は、登場人物から見れば、こんなんだろうね。
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きれいにまとめすぎというか、うまくいきすぎというか、なんとも現実感に乏しく感じました。ラストも取って付けた感満載でいかにも不自然。ご都合主義臭をいかに消すかって所がフィクション作家の腕の見せ所やないかと思うわけです。
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企業倫理をテーマにした、サスペンス小説で 基本的なテーマとプロットは好みなヤツなんですが どうにもこの主人公の「佐伯」の属する老舗の 玩具メーカーのあまりにもステレオタイプな愚かさが 流石にやり過ぎっぽくて、ちょっと残念だったかも。 「佐伯」が社内で会社員としての保身と、人としての 倫理の間で悩み、鬩ぎあうためには、ある程度会社側が 愚かに描く必要はあるんでしょうが...これは余りにも やりすぎ...かなー。こんな危機管理ゼロ会社なんて... あるのかしらw? ウチの会社じゃあるまいしw。 そして最終的に主人公「佐伯」が決断した行動にも ここまで引っ張っておいて、少々疑問は残ってしまう。 元々、好きなジャンルだし、身代金奪取の方法や その恐喝者の正体などミステリ的にも読んでいて 盛り上がるので、充分楽しめたのは確かなんですけどね...。 どっかで沸騰するような展開や、主人公が葛藤するだけではなく、 企業全体が犯人と闘い、葛藤する構図の方が嬉しかったかも。
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