飢餓浄土 の商品レビュー
戦場、密林、路上……棄民たちの世界を象るグロテスクな幻 フィリピンの密林に現れる人食い日本兵の亡霊、ある日突然、「私が産んだの」と言って乳飲み子を抱き始めたオカマ、奇形児を谷底に繰り返し突き落とした産婆を襲う祟り、 ルワンダの虐殺地で人間の死体を食い漁り生き延びた野犬……ノンフィ...
戦場、密林、路上……棄民たちの世界を象るグロテスクな幻 フィリピンの密林に現れる人食い日本兵の亡霊、ある日突然、「私が産んだの」と言って乳飲み子を抱き始めたオカマ、奇形児を谷底に繰り返し突き落とした産婆を襲う祟り、 ルワンダの虐殺地で人間の死体を食い漁り生き延びた野犬……ノンフィクションの開拓者・石井光太が地べたを這い、数々の噂、幻、霊から抉りだした真像。(アマゾン紹介文)
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この世には、知らないコトが、まだまだまだまだたくさんあるなぁ。 改めて、著者がいかに世界の「奥」まで入り込んで行っているか知らされた。
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その時代に起こった出来事がどの様にその時代を生きた人々に影響を及ぼしたのかがわかる。それぞれとても人間的で興味深い。
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石井さんのドキュメントの本。 いつもどおり東南アジアあたりでの貧困の問題等を取材をもとに書かれています。 今回は現代においても魔女狩りがなされるアフリカの地での取材もあった。 なんというか現実で直視しがたい問題に突き当たったときには責任問題を魔女や精霊のせいにする人々がいるのが、...
石井さんのドキュメントの本。 いつもどおり東南アジアあたりでの貧困の問題等を取材をもとに書かれています。 今回は現代においても魔女狩りがなされるアフリカの地での取材もあった。 なんというか現実で直視しがたい問題に突き当たったときには責任問題を魔女や精霊のせいにする人々がいるのが、日本で生まれ育ち信仰心の全く無い自分としては滑稽に見えた。
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『物乞う仏陀』と少し似ている。 障害者にフォーカスをあて、彼らは光であり影でもある存在を両側から描いた前作。 対して本作は、「幻」の使いみち。どの国にもある流言やデマ=つまりは幻を、悪事の言い訳として使ったり、前向きなよりどころとして使ったり。 そうしないと生きていけない、非効率...
『物乞う仏陀』と少し似ている。 障害者にフォーカスをあて、彼らは光であり影でもある存在を両側から描いた前作。 対して本作は、「幻」の使いみち。どの国にもある流言やデマ=つまりは幻を、悪事の言い訳として使ったり、前向きなよりどころとして使ったり。 そうしないと生きていけない、非効率で後ろ向きな生き方になってしまうからこそ、人は幻をつくりあげ、信じ、それに頼って生きている。 世界の日常にあふれている、どちらかというと汚い/怖い、泥臭い、幻を追いかけたのがこの作品。 なぜにタイトルが「飢餓浄土」なのか。そこが気になる。 浄土とは精神的にも物質的にも悩まされることのない仏の国のこと。 選択肢としては、、、 ・飢餓状態(最悪な状態)にあっても、仏の国へ行くことを信じてやまない ・仏の国へ行くことに飢えている状態 のどちらかだろうけど。 内容からしてもどっちともとれる気がした。
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分類をどうしていいか分からなかったのですが。ホラーとも言いがたいし。戦場の都市伝説を突き詰めて短編にしたようなお話ばかりです。怖くもなく淡々と綴られる話は読み終わった後が深いです。
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残留日本兵の亡霊 性臭が放つ幻 捨てられし者の嘆き 戦地にたちこめる空言 現実の中で、 幻が人間を励まし、 ふるい立たせることも 少なくない。 私はそれが 人間のつよさの 一つであると思っている。
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貧困の村や物乞いが集まる路上では、言い伝えのような流言がまことしやかに囁かれている。 人食い日本兵の亡霊や奇形児を突き落とした産婆の話、人間の死体を食い漁る野犬を恐れる人々。 その流言が貧しい人々の心を救ったり、逆に不幸な現実に直面させたりしている。 文明や教養に満たされている...
貧困の村や物乞いが集まる路上では、言い伝えのような流言がまことしやかに囁かれている。 人食い日本兵の亡霊や奇形児を突き落とした産婆の話、人間の死体を食い漁る野犬を恐れる人々。 その流言が貧しい人々の心を救ったり、逆に不幸な現実に直面させたりしている。 文明や教養に満たされているとばかばかしいとさえ思えるそれらの噂の裏には、彼らが翻弄された過酷な歴史が垣間見える。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『現実のなかで幻が人間を励まし、ふるい立たせることも少なくない。私はそれが人間の強さのひとつであると思っている』と著者も言ってます。 フィリピンの老人たちは太平洋戦争の責任を日本政府に訴えるより、山に現れるという人食い日本兵の幽霊に怯えていた。ベトナムの産婆は枯葉剤を散布した米国を憎むより、崖から捨てた奇形児の祟りに悩まされていた。ルワンダ大虐殺の生き残りたちは加害者を恨むより。野犬を虐待する事で歴史を抹消しようとしていた。 情報不足や教育不足を指摘したらそれで終わってしまうかもしれない。でも人間最後はこう言うことに行き着くのではないかと思った。今回の震災でも「奇跡の松」やただの漂流していたバレーボールにまで奇跡がついた。 結局は同じ事だと思う。 どんなに論理的になっても科学が発展しても人は人智を超えたものを見たいのだ! そんな日本人が忘れてしまっているそんな話を世界をまたに駆ける日本人の目線で著者がまとめたものである。 読んで、何かを得るのも。書かれている人々を劣ると蔑むのも(都知事はこっちかな)あなた次第。 ただ、そんな自分を冷静に見られたらちょっとはこれからが楽しくなるかも知れない一冊かも知れません
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戦地やジャングルやスラムというと、日本に住んでいる私などからすると非日常なワードとしか思えないわけなのですが、そこに暮らしている人たちにとっては間違い無く日常の場なんですよね。 そしてそのハードな日常の中の幻。わけがわからなくて心底薄ら寒いのから短編小説のように美しい物まで。本当...
戦地やジャングルやスラムというと、日本に住んでいる私などからすると非日常なワードとしか思えないわけなのですが、そこに暮らしている人たちにとっては間違い無く日常の場なんですよね。 そしてそのハードな日常の中の幻。わけがわからなくて心底薄ら寒いのから短編小説のように美しい物まで。本当にそこにいる人に聞いてみないとわからない事っていっぱいあるなあ、と、思います。
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