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オウム真理教の精神史 の商品レビュー

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2012/11/02

オウム真理教とは一体何だったのか。 地下鉄サリン事件はなぜ起きたのか。 宗教学、哲学が真摯に向き合った本。 オウム真理教はカルトではあるけれど、資本主義を生きる“一般的な”私たちと紙一重のところがあって、一歩踏み外せば向こう側に行っていてもおかしくない。 そんな気がします。 ...

オウム真理教とは一体何だったのか。 地下鉄サリン事件はなぜ起きたのか。 宗教学、哲学が真摯に向き合った本。 オウム真理教はカルトではあるけれど、資本主義を生きる“一般的な”私たちと紙一重のところがあって、一歩踏み外せば向こう側に行っていてもおかしくない。 そんな気がします。 麻原が水俣病患者であったという説は、非常にポイントになるでしょう(森達也さんのA3も併せて読んでいただきたいです)。

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2012/08/10

オウム真理教教義のもとになったと思われる思想?モドキをまとめてある。近代の鬼っ子といえる思想を総ざらいで平易な文章と構成でまとめてある。ちょっと物足りないかという読後感があるがこの宗教の思想的な系譜を列挙してあるのは圧巻だ。  西洋近代が取り残した部分や影の思想を確認できる。神秘...

オウム真理教教義のもとになったと思われる思想?モドキをまとめてある。近代の鬼っ子といえる思想を総ざらいで平易な文章と構成でまとめてある。ちょっと物足りないかという読後感があるがこの宗教の思想的な系譜を列挙してあるのは圧巻だ。  西洋近代が取り残した部分や影の思想を確認できる。神秘思想やニューサイエンス、「ノストラダムスの大予言」、ユダヤ陰謀論などなど。  いろいろ刺激を受けた本。新書での発売を求める。 日本社会で戦後キリスト教的終末論が受容した理由に、「自分たちの神」を頂点に据えた体制が「必勝」の戦争で悲惨な敗北をして、被曝の経験の記憶があるからだという、証言には一理あると思った。

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2012/09/16

近代という時代の構造そのものからの秀逸な分析。宗教学者だからこそできたオウム真理教本の決定版かもしれない。

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2014/05/17

オウムの思想的源流を探りながら、ヨーロッパ近代の思想、およびそれがいかにアメリカや日本に受容されたか、が分かりやすく紹介されている。それぞれの事項についてそれほど踏み込んだ記述があるわけではないが、無知な私としては非常に勉強になった。 しかし、その分、オウムそのものの論考として...

オウムの思想的源流を探りながら、ヨーロッパ近代の思想、およびそれがいかにアメリカや日本に受容されたか、が分かりやすく紹介されている。それぞれの事項についてそれほど踏み込んだ記述があるわけではないが、無知な私としては非常に勉強になった。 しかし、その分、オウムそのものの論考として読むと、多少肩透かしであることは否めない。むしろ、80年代の日本においてオウム的なものがもてはやされたこと、あるいはオカルトブームといってしまってよいかもしれないが、それらが世界的な流れに沿ったものであることを示すことが主題となっている。その意味で、オウムが仏教そのものではなくて、それを受容変質させたヨーロッパやアメリカの思想潮流に上に成り立っていたこと、そしてそうした思想潮流は近代個人主義の確立が背景にあることを提示することには成功している。そして、オウムはそうした文脈で論じられなければならないということにも説得力があるように思う。しかし、本書は欧米の思想系譜の紹介に大半が割かれているために、日本におけるオカルトとそれらの類似点ばかりが強調され、日本独自の事情については反対に記述が非常に薄い。近代という状況において生じる類似の現象の一つとして、オウムは理解されればそれで良いのであろうか。 日本の特殊性としては、欧米と異なり、仏教に対する理解が民衆の間にあらかじめ存在したということがある。そもそも、仏教はその最初から個人主義的な宗教であったのであり、また、はるか昔に政教分離に成功していた中国を経由して日本にもたらされたのであることを考えれば、実態はどうあれ、日本には個人主義に伴う思想自体は以前から流入していたと考えることができる。反対に、日本人のキリスト教徒に対する理解はそれほど深いものではなかった。ユダヤ人についてはなおさらである。今日ですら、ユダヤ人のイメージを明確に持っている日本人は少数派なのではなかろうか。 この点を考慮すると、欧米と日本では、ロマン主義から受ける印象はまったく逆のものとなる。欧米では、よく見知った思想の上に目新しい思想が接木されていると見られるものが、日本では良く見知った思想がなんだか疎遠なものを基礎として独自の解釈を加えられているように映る。原理主義にいたっては、ほとんど理解の糸口すら見えないような虚言としか思われないような代物であって、宇宙人やUMAと同じ次元で語ることがふさわしいといえる。 したがって、日本のオカルトブームが欧米から輸入された思想であったことはほぼ間違いないとしても、それがなぜ日本でという疑問と関連付けた場合、キリスト教という切り口は返って議論を困難にさせてしまう可能性がある。本書はそこまで踏み込んだ議論は行っておらず、方針を示すにとどまっているが、著者のあまり好ましくおもっていないであろうポストモダンによる議論を回避するとなれば、なぜ日本において近代の特異点ともいうべき現象が生じたのか論じるにあたって、日本の特質を考慮することは避けられないように思われる。

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2011/05/28

筆者はキリスト教グノーシス主義を専門にしている宗教学者なので、オウム真理教を独自に個別的に扱うという本ではありません。むしろ、オウム真理教というカルトには他の諸宗教やカルト宗教とされるものと比べて、どのような特徴や類似点があったのかを歴史的に見ていくという形で書かれた本です。 ...

筆者はキリスト教グノーシス主義を専門にしている宗教学者なので、オウム真理教を独自に個別的に扱うという本ではありません。むしろ、オウム真理教というカルトには他の諸宗教やカルト宗教とされるものと比べて、どのような特徴や類似点があったのかを歴史的に見ていくという形で書かれた本です。 筆者が本当に研究したいところが散見されて、それを読んでいると大変面白いのですが、少々オウム真理教とはかけ離れていく感じも否めない。まぁ、ジャーナリスティックなものではないから仕方がないのかもしれない。ただ、オウム真理教という特定のもの「だけ」を考えようとせずに、多くのカルト的な諸宗教の類似点を示しているので非常に勉強になります。 個々の事象を調べていくのは大変だったように思います。その分、根拠となるものが弱いような結論があるのが少し残念でした。

Posted byブクログ