ユダヤ人大虐殺の証人ヤン・カルスキ の商品レビュー
衝撃を受けた。衝撃的すぎて言葉にできない。それを言葉にして人に伝える必要がある。そのキツさ。それがひとつこの本のテーマでもあるが。
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人間は自分の利害に応じてのみ行動するものなのだ。そしてまさしくヨーロッパのユダヤ人を救済することは誰の利益にもならなかったから、誰も救済しなかったのである。もっと悪いことに、英米の合意はユダヤ人に対立する共通の利益を隠していた。イギリス人もアメリカ人もヨーロッパのユダヤ人に手を差...
人間は自分の利害に応じてのみ行動するものなのだ。そしてまさしくヨーロッパのユダヤ人を救済することは誰の利益にもならなかったから、誰も救済しなかったのである。もっと悪いことに、英米の合意はユダヤ人に対立する共通の利益を隠していた。イギリス人もアメリカ人もヨーロッパのユダヤ人に手を差し伸べようとしなかったのは、彼らを自分たちの国が受け入れなくてはならなくなるのを怖れたからだ。チャーチルの協力者の中には、ヒトラーがユダヤ人を国外追放するするのを恐れたものたちがいた。そうなればパレスチナを彼らに開放しなくてはならなくなり、イギリス人はそのことに反対だった。ロンドンの外務省の非公式な場では、テクノクラート官僚による反ユダヤ主義がみなぎっていた。そこでの移民規制法は反ユダヤ法を少し礼儀正しくしただけのものにすぎなかったのだ。アメリカの国務省は、ユダヤ人難民という観念さえも拒み、その政策は長い間、できるはずの救済を妨害することだった。ルーズベルト政府の態度がスキャンダルを起こしそうになった時になってようやく措置が取られたのである。だが、行政の手続きがあまりにも狡猾だったため、合法的にアメリカの地に受け入れられるはずだった難民のうち、わずか10%ほどしか実際には入国ができなかった。
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