科学の扉をノックする の商品レビュー
人気小説家が書く科学の本だけに、難しい科学を分かりやすく面白く解き明かす内容を期待したが、難しいものは難しいままだった。
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小川洋子らしい目線で 科学的な題材と向き合ったエッセイ。 7つのテーマが収録されている。 科学の説明というよりは 科学的題材と向き合う研究者の人柄や ストーリーに主眼が置かれている。 家庭の医学が好きだった子供時代など 小川洋子作品の表現でみたシーンも出てきた。
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ノックする程度の本当に触りの部分だけを、いわゆる「素人目線」で見聞きしたエッセイ。SPring8 を 8 の字と想像している点など面白いものの、物足りないといえば物足りない。
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本を読んでいて、人が話しているように黙読し、記憶に文章というのは、、、。この本は、読み終わる頃に今の自分にひっかかる文章があった。『美容院で髪を切ってもらったり、整体院でマッサージを受けたりしている時、美容師さんやマッサージ師さんに、それまで、誰にも言えなかった秘密をふっと打ち明...
本を読んでいて、人が話しているように黙読し、記憶に文章というのは、、、。この本は、読み終わる頃に今の自分にひっかかる文章があった。『美容院で髪を切ってもらったり、整体院でマッサージを受けたりしている時、美容師さんやマッサージ師さんに、それまで、誰にも言えなかった秘密をふっと打ち明けてしまうことがある。身体を他人に任せていると、無防備な状態になり、心が開かれてゆくのを感じる。』最近、そのようなことがあったなと思うのと同時に、無自覚のまま、文章で再確認したりする時、読んでて良かったなと、ふと思う瞬間であった。
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文学部出身の著者ではあるが、新聞で一番好きな記事は科学の記事だという。 そんな人物が第一線で活躍する科学の専門家7人にインタビューをしたもの。根っからの文系人間の僕には理解不能な箇所もあるが、それでも努めて平易に書こうとしてくれる。宇宙の神秘のような超マクロから、細胞の中のDNA...
文学部出身の著者ではあるが、新聞で一番好きな記事は科学の記事だという。 そんな人物が第一線で活躍する科学の専門家7人にインタビューをしたもの。根っからの文系人間の僕には理解不能な箇所もあるが、それでも努めて平易に書こうとしてくれる。宇宙の神秘のような超マクロから、細胞の中のDNAの塩基配列の超ミクロまで。研究テーマは多種多様。しかしどんな対象であっても、終わりなき解明に挑む研究者の皆さんの姿は等しく輝いている。
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数学はいつでも苦手だったけれど、科学はどうだったか思い出せない。自分が親しく科学的学問を学んだのは高校生の頃、地学で星の運行にふれたのが最後。 目に映るもの全てに詩情があるというなら、同じく科学のまなざしを持って世界を読み解くことが、こんなにも豊かに可能であるとこの本は教えてくれ...
数学はいつでも苦手だったけれど、科学はどうだったか思い出せない。自分が親しく科学的学問を学んだのは高校生の頃、地学で星の運行にふれたのが最後。 目に映るもの全てに詩情があるというなら、同じく科学のまなざしを持って世界を読み解くことが、こんなにも豊かに可能であるとこの本は教えてくれる。 特にすきなのは3章と6章。 死への流れと死のかたち。
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73冊目『科学の扉をノックする』(小川洋子 著、2011年3月、集英社) 作家・小川洋子が科学のスペシャリストたち7人にインタビューをし、それを纏めた一冊。 ジャンルは天文学や鉱物学、生物学、スポーツ科学など幅広いが、いずれも専門的な内容ではないため、全くの門外漢でも問題なく読む...
73冊目『科学の扉をノックする』(小川洋子 著、2011年3月、集英社) 作家・小川洋子が科学のスペシャリストたち7人にインタビューをし、それを纏めた一冊。 ジャンルは天文学や鉱物学、生物学、スポーツ科学など幅広いが、いずれも専門的な内容ではないため、全くの門外漢でも問題なく読むことが出来る。 小川洋子らしい柔らかな文章で書かれており、一つ一つのインタビューはまるで物語のようなユニークさ。 科学に興味がなくても十分に楽しめる。 「私は今日ほど安らかな気持で、死の話に耳を傾けたことはなかった」
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小川洋子さんが様々な科学者にインタビューする本です。 科学では、知れば知るほどわからないことがたくさんあること。 宇宙、鉱物、遺伝子、生物、、、まったく異なる分野なのに、なにか共通するものがあり、人間社会に通ずる話が見えてきます。そこを小説家が絶妙に料理してくれるので、小説に膨...
小川洋子さんが様々な科学者にインタビューする本です。 科学では、知れば知るほどわからないことがたくさんあること。 宇宙、鉱物、遺伝子、生物、、、まったく異なる分野なのに、なにか共通するものがあり、人間社会に通ずる話が見えてきます。そこを小説家が絶妙に料理してくれるので、小説に膨らむ妄想を楽しみつつ、それぞれの分野の最先端を理解することができます。 科学の初心者におすすめの本
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10年近く本棚に眠っていたので手に取った。 まずこの本の特徴として、小川洋子さんが書いているだけあって文章が読みやすい。 読みやすいといってもユーモラスだというわけではなく、何というかスラスラ入ってくる。 それは一つ一つの情景・感情描写にも普段から気を使い、細部にまで目を向けて...
10年近く本棚に眠っていたので手に取った。 まずこの本の特徴として、小川洋子さんが書いているだけあって文章が読みやすい。 読みやすいといってもユーモラスだというわけではなく、何というかスラスラ入ってくる。 それは一つ一つの情景・感情描写にも普段から気を使い、細部にまで目を向けているからだろう。 このような作家特有の繊細さを持って科学について書かれるとどうなるか。 科学をストーリーとして味わえるのだ。 科学の内容だけでなく、そこに携わる科学者の心情までも事細かに描いてくれている。 よって、「科学をしている人」を客観的に見ることができるのだ。 「科学者はそんなことを考えながら科学と向き合っているのか」と感心させられることが多い。 科学者が書いた本だと、どうしても科学の内容に重点が置かれる。 作家が科学について書くことで、科学と科学者との間の相互作用を描くことができるのだ。 自分は特に 3章 命の源”サムシング・グレート” 6章 平等に生命をいとおしむ学問”遺体科学” 7章 肉体と感覚、その矛盾に挑む の3つの章が非常に印象に残った。 科学者も人間であり、理性と感情を完全に分離して考えることなど不可能なんだと教えられる。 人間臭い科学者こそが魅力的なのだ。
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小川洋子(1962年~)氏は、岡山市生まれ、早大第一文学部卒の小説家。『妊娠カレンダー』で芥川賞(1991年)、『博士の愛した数式』で本屋大賞(2004年)、そのほか谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを受賞している。 本書は、2008年に出版され、2011年に文庫化された。 本書は、「...
小川洋子(1962年~)氏は、岡山市生まれ、早大第一文学部卒の小説家。『妊娠カレンダー』で芥川賞(1991年)、『博士の愛した数式』で本屋大賞(2004年)、そのほか谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを受賞している。 本書は、2008年に出版され、2011年に文庫化された。 本書は、「子供の頃から、新聞で一番好きなのは科学の記事でした」という著者が、科学の7分野の研究者に対して行ったインタビューをまとめたものである。 章立て及び対談相手は以下である。 1章:宇宙を知ることは自分を知ること/国立天文台教授 渡部潤一 2章:鉱物は大地の芸術家/鉱物科学研究所所長 堀秀道 3章:命の源“サムシング・グレート”/筑波大学名誉教授 村上和雄 4章:微小な世界を映し出す巨大な目(SPring-8)/財団法人高輝度光科学研究センター特別研究員 古宮聰 5章:人間味あふれる愛すべき生物、粘菌/京都大学名誉教授 竹内郁夫 6章:平等に生命をいとおしむ学問“遺体科学”/東京大学総合研究博物館教授 遠藤秀紀 7章:肉体と感覚、この矛盾に挑む/阪神タイガースファームトレーニングコーチ 続木敏之 研究者や(科学)ジャーナリストが、特定の分野に関して、一般向けに網羅的にまとめた入門書や、最新の研究結果をレポートしたものとは異なるが、好奇心の塊のような著者と、研究愛に溢れた各研究者のやりとりから得られるものは少なくない。 また、宇宙科学や生命科学のような注目される分野については、否応なく関心も向くし、知識・情報に触れる機会も多く、自ら関連する書籍を読むことも少なくないが、そのほかの、そうした機会の少ない分野(先生方には申し訳ないが)についても取り上げられており、そういう意味でも本書の価値は大きいと思われる。 宇宙科学、生命科学から鉱物学、粘菌学まで、様々な科学の扉をたたき、興味を呼び起こしてくれる、作家と研究者の対談集である。 (2021年6月了)
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