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日月めぐる の商品レビュー

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2012/07/31

江戸末期、駿河国小島藩の城下(実際は城はなく陣屋があるばかりの小藩だが)に暮らす武家や商家、農家の人々の間で起こった小さな事件。それぞれの鬱屈や沈んだ心がやがてほどけていく過程がゆるやかに語られる。 7つの短編はいずれもたっぷりとした余韻を残して次の物語へと繋がる。あの二人は、あ...

江戸末期、駿河国小島藩の城下(実際は城はなく陣屋があるばかりの小藩だが)に暮らす武家や商家、農家の人々の間で起こった小さな事件。それぞれの鬱屈や沈んだ心がやがてほどけていく過程がゆるやかに語られる。 7つの短編はいずれもたっぷりとした余韻を残して次の物語へと繋がる。あの二人は、あの親子は…ともどかしい気持ちのまま読み進めていると、ふとした場面にそうした人々が再登場するのが心にくい。中でも気になっていた「女たらし」の為次郎と四斗樽と見まごう大女のお小夜のユーモラスで温かい物語の続きがほんのわずか垣間見られたのにはなんともいえないさわやかな心持になった。

Posted byブクログ