あるシネマディクトの旅 の商品レビュー
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「江戸の味が食べたくなって」の後半に掲載されていた <第三部 パリで見つけた江戸の味>に出てきた フランスの居酒屋〔B・O・F〕の老店主 セトル・ジャンと池波正太郎氏が 表紙の写真を飾っていたので、思わず手に取りました。 フランス紀行三作をまとめた本です。 池波氏の描いたフランスで出会った風景も収録されていて、 なんとも言えない雰囲気のエッセイです。 日本での作家としての忙しい中、なんとかやりくりして時間を作り フランスへの旅を楽しむ池波氏。 同行者は日本人のカメラマンや編集者など。 あとは、フランス在住の日本人が現地で案内してくれるという なんとも羨ましい限り。 しかし、ツアー旅行ではないので大変なこともありますが それはそれ、楽しんでしまうことの寛容さに脱帽です。 フランスの歴史や映画に詳しいので、行く先々の場所の 文中に織り交ぜることによって 読む側も想像しながら読み進めることができます。 こんな、ゆとりある旅行は、ほんとう贅沢な気がしますが 池波氏のエッセイを読んでいると嫉妬すら感じず、 むしろ、いっしょに旅をしてる気になるので不思議です。 作中でも池波氏が、世界情勢が変われば、こういうのんびりした旅も出来なくなるだろうと書かれてましたが、今の世界はこの頃より変化が激しくなってるだろうと私も思いました。 池波氏は〔異国で病気にかかることをおそれ、腹七分目の食生活をするので〕と体調も気遣っていることがすごい。 それでも、何か美味しいものを食べることに専念してるわけれども、 行く先での居酒屋やレストランで、時折「うまい!」と思う出会いがある。 しかも「うまくなかった」「うまかった」とはっきり記載てるのが気持ちいい。 最後のセトル・ジャンとの章を見ると、人間と人間が繋がることの素敵だなと感じる。 この本に出てきた売店の人、牛追いの男性。 シャトーホテルのオーナーやマダム。 給仕たち。 みんな、もう、この世にいなかったりするのだろうな。 ああ、池波正太郎氏ももう、あちら側に旅立ったのでした。 今頃は、セトル・ジャンとペルノーとモーゴンの地酒を酌み交わしているのかもしれない。
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フランスの田舎を巡る旅。池波流海外旅行術、旅の流儀があって、それに則るが故に(単に時間的制約ともいえるが)もったいないなあ、そこスルーですかあ?と思う部分もあるんだけど、それでもこういう旅がしたいなあ、いいなあと思わせるものがありますね。誰にともなく日本から小さなお土産を持ってい...
フランスの田舎を巡る旅。池波流海外旅行術、旅の流儀があって、それに則るが故に(単に時間的制約ともいえるが)もったいないなあ、そこスルーですかあ?と思う部分もあるんだけど、それでもこういう旅がしたいなあ、いいなあと思わせるものがありますね。誰にともなく日本から小さなお土産を持っていく、というのは素敵なアイデアだと思います。是非真似したい。池波さんといえば、やっぱり食べ物の記述がねー、シンプルなのにゴクリッときます。フランス語のメニューを読み解く情熱に脱帽。
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「そこ自分でやらないと、旅が面白くないでしょ!」とつっこみたくなってしまう場面が何回もあるけど、そこは世代が違うということで仕方がない。 フランスの田舎って、いいんだなぁ。
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