桂離宮 様式の背後を探る 改版 の商品レビュー
(*01) 森蘊「桂離宮の研究」を先行として踏まえ、太田博太郎による指摘を受けての改稿により桂別業を美学的に批評している。初代と二代の八条宮、その妻であり母であった八条宮の意図を形を今に読みとる。特に二次改変の中書院付近(*02)から現われる直線化と平面化への志向を、初代の晩年に...
(*01) 森蘊「桂離宮の研究」を先行として踏まえ、太田博太郎による指摘を受けての改稿により桂別業を美学的に批評している。初代と二代の八条宮、その妻であり母であった八条宮の意図を形を今に読みとる。特に二次改変の中書院付近(*02)から現われる直線化と平面化への志向を、初代の晩年に組まれたプログラムとして見ている。 リズムを持ち、時には即断することで、先へ先へと場面を切り拓き(*03)、読者を導いていく文体が心地よい。 (*02) 特に嬉しいのは、庭園と建築をつなぐ、雨落溝に見方を与え、中書院まわりの苔と芝とのテクスチャの対比を裁断する縁切り、松琴亭まわりの同様の所作に目を向けさせていることは著者ならではの炯眼と言えるのではないだろうか。 (*03) 第4章の「庭園の製作と作者の問題」は造園またはランドスケープアーキテクトを志すものが考慮すべき基礎的なテクストであろう。独裁政治家と造園の怪しげで切れない関係についての文章として必読である。
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