日本型脱予算経営 の商品レビュー

柳良平【著】

2013/01/10

‎2011/7/31読了。ここ数年、個人的に最も関心を持っていたのが、Beyond Budgeting。ただ、従来の伝統的予算制度の問題点、すなわち金融危機のような急激な環境変化に対する機動性、予算策定で売上過少＆経費過大へのバイアスがかかりがちな点、期末近くの経費予算＆設備予算の消化や売上の押し込みの常態化、戦略経費支出などでの裁量的利益調整などでの弊害を指摘する一方で、なかなか対案を提示できていないように感じておりました。本書では、証券取引所の要請による制度的業績予測やコーポレート・ガバナンスの脆弱性など日本の実情に沿った「日本型脱予算経営」のモデルを提示しています。実証的な研究に基づき、業績予測が資本コストの低減やコーポレート・ガバナンスに資する一定の効果を認めつつ、短期ではローリング予測などの手法を、長期ではBSCを推奨しています。私見では、BSCの効果や妥当性をどう担保するのかが課題かな。