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潜入ルポ 中国の女 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2018/12/22

 おおまかにいうと三部構成。  第1-2章 農村部の貧しい女性たち  第3章「戦う」女性たち  第4章 八〇后、呼ばれる消費生活を楽しむ女性たち  華々しく、スポットライトが当たり、「今の中国の女性」としてほうぼうで紹介されるのは、第3章の「戦う」女性たちや、第4章の消費生活を...

 おおまかにいうと三部構成。  第1-2章 農村部の貧しい女性たち  第3章「戦う」女性たち  第4章 八〇后、呼ばれる消費生活を楽しむ女性たち  華々しく、スポットライトが当たり、「今の中国の女性」としてほうぼうで紹介されるのは、第3章の「戦う」女性たちや、第4章の消費生活を楽しむ女性たちだろう。  第3章では、実際、チベット問題や、人権問題を扱い、当局からの絶えざる圧力に晒されている活動家たちが紹介され、彼女たちの強靭さには圧倒される。  同時に、第4章で紹介される、都会的で洗練された生活を送る若い世代に、日本人との差異はあまり見受けられないように見える。    が、おそらくは中国の富裕層を支えているのは圧倒的多数の貧困層であり、その半分は女性である。  彼女たちの実態が第1-2章で語られている。  彼女たちは「一人っ子政策」が唱えられる中で、一人目が男児でなかった場合、「男児を生む」プレッシャーのもとに、二人目、三人目を産む。女児だった場合は戸籍がなかったり、二人目以降に過大な罰金を払ったりする。  また、「エイズ村」と呼ばれる村では、かつて村の貧しさから売血が流行り、結果不衛生な器具からエイズが蔓延した。が、そこに住む女性は、それでも夫との性交渉を重ね、子供を産む。  結果、夫婦ふたりどころか、子供もエイズに感染している。それは彼女たち夫婦だけではなく、周りも同じで、結果、村の住民の半数以上は感染者である。  中国の構造的な問題がこの落差を生んでいる。都市部と農村部に格差があり、農村部の人間は都会に出てくると医療、住宅、教育などの公共サービスを受けられなくなることが多い。しかし、それでも豊かな生活を夢見て都会に出てくる人間は後を絶たない。  女性、しかも若い女性の場合その夢は売春に直結する。  そういう仕事と知らずに連れてこられるもの、わかっていてそれでも体しかないと覚悟を決めて出てくるもの、数々の女たちが苦界に沈む。  そして、コンドームはお金がかかる上に客が嫌がるので、エイズがますます蔓延することになる。  こういうのを読むと、経済大国2位と呼ばれる実態はどこまでほんとなんだろうなー、と勘ぐって、テレビのニュースを鵜呑みにするのをためらってしまう。  

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2015/02/14

中国社会階層の女性を上から最底辺まで取材したルポ。 エイズ村の衝撃さが印象的だが国家を相手に戦い抜いている愛称マギーの生き様に尊敬!

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2013/04/29

チャイナウォッチャーとして有名な福島氏の講演を聞いた際に、買った。内モンゴルの小説家と称して各地を旅したそうだが、当局からギリギリのところで活動だったのだろう。エイズ・貧困・売春・人権・民族問題etc。なんだかわからなくなるぐらいの問題の数々、内部矛盾の塊。それが現実だとわりきっ...

チャイナウォッチャーとして有名な福島氏の講演を聞いた際に、買った。内モンゴルの小説家と称して各地を旅したそうだが、当局からギリギリのところで活動だったのだろう。エイズ・貧困・売春・人権・民族問題etc。なんだかわからなくなるぐらいの問題の数々、内部矛盾の塊。それが現実だとわりきって生きているのだから、それはそれで強いわけだ。

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2012/10/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読み始めがいきなりエイズ村の女性、次が売春婦の話ときて、下世話な話が続くのか…とちょっとゲンナリしたが、それは大きな誤解だということがわかった。この本の内容はとても深く、中国に対する偏った見方ではない現実を見せてくれる。表紙の写真と冒頭のタブロイド的に勘違いされやすいのとで、誤解されそうな気がする。勿体ない。

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2012/07/01

超大国でありながら、なかなかオープンではない中国。でもある意味、そこが魅力でもあったりするんだけど。 やはり何といってもエイズ問題と奇形児が衝撃だった。うーん、もっとあるんだろうなぁ。 そんな中国を、たくましくしたたかに生きている女性達の話。 12/07/01-73

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2012/03/26

300元で売られてしまう女、屑ひろいから立身出世した女企業家、共産党と戦う革命家まで中国の幅広いジャンルの女性たちが紹介されている。

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2011/11/30

福島香織さんの文章はとても読みやすく、しかも表現がわかりやすいので、現地の状況が良くわかった。 それにしても中国の女性は悲惨でもあり、たくましくもあり、凄いと思う。また一党独裁による、非情な仕打ちは 共産党政権が底辺からの国民生活の向上より 共産党政権の維持のために活動していると...

福島香織さんの文章はとても読みやすく、しかも表現がわかりやすいので、現地の状況が良くわかった。 それにしても中国の女性は悲惨でもあり、たくましくもあり、凄いと思う。また一党独裁による、非情な仕打ちは 共産党政権が底辺からの国民生活の向上より 共産党政権の維持のために活動しているということがよく分かる。 このルポから数年がたっているが、はたして中国という国は、あれから変わってきているのだろうか?

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2012/01/09

見たことのない、息をしている中国が見えるこれは凡百の中国本とまったく切り口が違って非常に新鮮。激動の数十年を過ごした中国で、もっとも変わったのは「女」だったのかもしれない。かつての纏足に代表されるような、徹底した男尊女卑文化圏の中国だが、市場経済の導入による欧米文化の流入によって...

見たことのない、息をしている中国が見えるこれは凡百の中国本とまったく切り口が違って非常に新鮮。激動の数十年を過ごした中国で、もっとも変わったのは「女」だったのかもしれない。かつての纏足に代表されるような、徹底した男尊女卑文化圏の中国だが、市場経済の導入による欧米文化の流入によって、大幅に女の立場が変わりつつある。だがそれも地域によってまた大きな大きな差があり、中国はいま、女にとって非常に濃いグラデーションのついた国になっている。都市で売春に身をやつす女、男子を産まないと人間扱いされない農村の女など、中国に生きる女たちひとりひとりを掘り下げたルポ集。タイトルがわかりづらいのと、装丁がやけに夜のニオイがするテイストになっていて損しているが、非常によくできているノンフィクションだと思う。

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2011/09/18

読了。女性が実際にルポし書き上げた。いろいろな女性を通して今の中国のリアルな姿が見えてくる。お薦めの一冊。

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2011/06/13

中国には、仕事で何度も行き、その国民性が何たるかを知りたいと思った。ここに登場してくるような人に直接出会うことはないだろうが、歴史、政治、文化の成り立ちから、彼らの考えをうかがい知ることができる。前半はかなり突っ込んだ取材で、取材対象もさることながら、作者のスリルも感じられる。中...

中国には、仕事で何度も行き、その国民性が何たるかを知りたいと思った。ここに登場してくるような人に直接出会うことはないだろうが、歴史、政治、文化の成り立ちから、彼らの考えをうかがい知ることができる。前半はかなり突っ込んだ取材で、取材対象もさることながら、作者のスリルも感じられる。中国でビジネスをする人は一読の価値あり。

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