僕だけの巫女奴隷 の商品レビュー
独自の世界を模索し続ける作者の探究心を感じる
2作目の『蔵の中-三匹の未亡人』以来、凌辱 → 調教 → 完堕ち という流れで作品を重ねてきた作者が、ここで最初の凌辱さえも端折るという暴挙(?)に出た作品。まぁ、実際は端折った訳でもないだろうし暴挙でもなかろうが、何しろ初期設定でヒロインの1人は既に調教済みなのだがら相当に冒険...
2作目の『蔵の中-三匹の未亡人』以来、凌辱 → 調教 → 完堕ち という流れで作品を重ねてきた作者が、ここで最初の凌辱さえも端折るという暴挙(?)に出た作品。まぁ、実際は端折った訳でもないだろうし暴挙でもなかろうが、何しろ初期設定でヒロインの1人は既に調教済みなのだがら相当に冒険的かつ挑戦的と言えるかもしれない。森作品としては初めての母娘2人ヒロイン作品でもある。 官能描写として巫女の格好している機会は少なくないが、今回の設定は、むしろ主人公と義理の母娘(義母と義妹)との関係性を構築するために重用されている。そのため、主人公が義母と結ばれる契機となった過去の設定、あるいは義妹と結ばれていく展開の中に巫女である必然性はそれほど高くないのだが、代わりに母娘揃って主人公に夢中なラヴ要素でこれを補っている感じである。義妹も調教において抵抗する素振りは見せず、主人公と義母との関係を知っていることから「自分も母のようになりたい」という状態で始まる。最初から調教済みな義母と、自ら調教を願う義妹となれば、「おいおい、この作品のどこに面白味があるんだい?」と思ってしまうかもしれない。そんな本作の肝は、最初から育まれていた義母との関係が、巫女としての先輩から後輩への継承も絡んで義妹へと移っていく中で発生する嫉妬の描写なのである。 以前よりお慕い申していながら「被調教者」であり、何より「母」でもあるため、その想いを主人公に告げられない義母。未亡人としての切ない過去(調教済みにも理由がある)から5年もの歳月を経てもなお「義息」であり「ご主人様」でもある主人公との主従関係と恋慕の情との間で揺れる心が巧みに描かれている。しして、これを知りながら「調教者」(これも訳あって魔少年的調教者ではない)の立場を利用しつつ、その心情を吐露させようとする主人公や、この超えられない壁をいとも簡単に乗り越えていく義妹との間に生じる密な三角関係が本作の主軸となっている。これを序盤から延々と続く義母のM性たっぷり&義妹の健気で初々しい官能描写で最後まで繋げているのである。 凌辱描写も無ければ正統的な誘惑も無く、調教作品ではあるが調教の過程もさほど描かれない(言ってしまえば母娘は最初から堕ちている)本作のテイストを表すのは難しい。ここは敢えて歪みに歪んだ愛情作品と言うしかあるまい。主人公は義母にも義妹にも最終的には「恋人」を求めている。最初から「恋人」が約束されている義妹をダシにして義母も「恋人」として精神的に篭絡させる作品とも言えるが、最後の最後に「おぉ、こうキタか」という予想以上の展開が大いなるクライマックスとして官能のカタルシスを生んでいる。既存の作風を基礎としながらも独自の世界を探求するかのごとく捻りの利いた愛情エッセンスを盛り込んでくる作者がこれから向かう先をこれからも楽しみにしたい。
DSK
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