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恋しぐれ の商品レビュー

3.6

28件のお客様レビュー

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2019/02/25

短編仕様になってはいるけれど、与謝蕪村とその周囲の人々にまつわる7話。 夜半亭雨情/春しぐれ/隠れ鬼/月渓の恋/雛灯り/牡丹散る/梅の影 俳諧はそもそもことばに生きたひとたちの世界だから、文献もいろいろ残ってたり、句に対する添え書きや場面の記録もあるだろうし、史実を掘り下げる...

短編仕様になってはいるけれど、与謝蕪村とその周囲の人々にまつわる7話。 夜半亭雨情/春しぐれ/隠れ鬼/月渓の恋/雛灯り/牡丹散る/梅の影 俳諧はそもそもことばに生きたひとたちの世界だから、文献もいろいろ残ってたり、句に対する添え書きや場面の記録もあるだろうし、史実を掘り下げる作業は底無しなのに対して、想像や創作が入り込む余地は意外と少ないんじゃないかなぁと、おもうけど。蕪村の半生だけを追っているわけでなく、蕪村の半生を調べるうちに登場してきたサイドの人物たちの、恋、愛というよりは恋心、のかたちをみて、人間模様を綴った、、という印象の短編集。 恋心ってのはいろいろだよね。性愛や愛憎の絡まないせつない部分、というか。大人のコイバナってかんじです。お薦め。

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2018/05/15
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与謝野蕪村の話・・というよりも、蕪村の周りの人の恋の話という感じでした。 俳諧で生きていくという社会情勢がちょっと理解出来ませんでした。 葉室さんの作品は、極端に面白いと思える物と分かれます。

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2017/03/10

2017.03.08 蕪村の俳句がよくその状況を映し出している。「見えるものをそのまま描くのは難しい」それは「事実をそのまま事実として伝えるのは難しい」現在社会での多くのトラブルと同じ言葉をあの時代に名人が悟りの境地で述べたのは重い。家、家系、女の地位、やるせなさ•••。

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2014/11/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ひとが日々努力し、おのれの命を全うしようとしる姿こそが美しく、愛おしいのだ 見たままを描くというのは、簡単なようで案外できんもんです。ひとは誰しも見たいものを見ますさかい

Posted byブクログ

2014/07/10

江戸中期の俳人であり、画人である与謝蕪村の恋多き物語である。 「夜半亭有情」――― 病気で、いくばくも命の無い息子が、今まで名乗り出ずにいたのに、一目父親の顔を見にやって来て、庭に薺の花を見るのである。 自分の小さな中庭にも薺の花が咲いていたのは、親子の結びつをも感じさせる話だ...

江戸中期の俳人であり、画人である与謝蕪村の恋多き物語である。 「夜半亭有情」――― 病気で、いくばくも命の無い息子が、今まで名乗り出ずにいたのに、一目父親の顔を見にやって来て、庭に薺の花を見るのである。 自分の小さな中庭にも薺の花が咲いていたのは、親子の結びつをも感じさせる話だ。 「春しぐれ」------ 蕪村の娘 くのの縁談で、嫁いだ先の夫が、博打にはまってしまったのと、結婚前に、風湿、今のリウマチであろうか、病気の理由をつけられて、蕪村が娘を引き取りに行く。 嫁いだ先の大旦那は、3年掛けて息子の借金を返し、5年目にくのに、千利休のかまぼこの話になぞらえて、謝るのであり、又、くのは、嫁いだ先を護りきれなかったことを、謝るので、ある。時間が、わだかまりを氷解してくれている。 「隠れ鬼」――― 武士である文左衛門が、妻子が、居るのにも関わらず、遊郭の小萩と、駆け落ちして、家を追い出されてしまう。縁者に、俳人の道を、勧められ、大魯と、言う名になったが、駆け落ちがはめられたものと、解るが、その小萩も、騙されていた。 再開した時に「生きた者が、勝ちなのだ」と、気づかされるのである。 「月渓の恋」――― 寺の外で、行き倒れた娘、おはるを月渓が助け、応挙の弟子に推薦するが、父親の病気のために、遊郭に売られ花魁となる。それを、皆が請負、月渓の嫁に出来たのだが、船旅の遭難で、亡くしてしまう。残してくれたおはるの書いた掛け軸を前にして、月渓は、池田に住み、応挙の弟子となって、呉春と、名を変え、絵師として大成する。 「雛飾り」――― 家老の次男で、俳諧師となった建部綾足は、自分の過去も、引きずりながら、「西山物語」を書いたが、其の主人公の離縁された嫁が、蕪村が、ひな祭りの行事に招待した折に、独jを盛るのである。 大事にはならずに済んだが、男女の思いが理解しがたい。 後に、上田秋成が、其の毒薬未遂の原因となった物語の[源太騒動]について、『春雨物語』に書いている。 「牡丹散る」――― 丸山応挙に、新五郎と言う弟子が、妻と一緒に、訪れる。 2人は不義者だが、応挙はその妻の七重に恋心を抱く。 新五郎は、兄の病気のために、家督を継ぐように言われるが、その条件として、七重と別れなければいけない。 その選択に、牡丹の絵を、描くことと同じで、絵師は、この世を情を捨て、真実だけを見て生きるのだと、、、 応挙の、儚い恋の思いだった。 「梅の影」――― 与謝蕪村の死を知って芸妓で、弟子のお梅は、蕪村が、可愛がった小糸の嫉妬の句から、皆の反感があったが、月渓に、内訳して、丸山応挙の京都で、過ごす。 天明の大火で、小糸とも再開して、蕪村とは、切れなかった仲だった事知るが、小糸は、お梅に、嫉妬していたと、あかす。 どの話も、一途に思う恋心、年の差なんて、へっちゃらと、言うう感じだけど、凄く、上品に、句と一緒に、述べられて、何か、本当にそのような出来事が、あったように感じられ、何処までが、本当の事実で、何処から、小説なのだろうかと思われる本であった。

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2014/05/18

京に暮らし、俳人として名も定まり、よき友人や弟子たちに囲まれ、悠々自適に生きる蕪村に訪れた恋情。新たな蕪村像を描いた意欲作。蕪村、最後の恋。五十近い歳の差を厭わぬ一途な想いに友人の応挙や秋成、弟子たちは、驚き呆れるばかり。宗匠と祇園の妓女の恋路の結末は…。

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2014/01/29

直木賞作家葉室麟さんの2011年作品『恋しぐれ』を読了。 江戸時代芭蕉の後に活躍した俳人でもあり画家でもあった蕪村とその弟子達を巡る物語なのだが、残っている蕪村の足跡と俳句をベースに蕪村やその弟子達が出会った人への思いや別れ、家族との軋轢、遊びへののめり込みや失敗などなど様々な出...

直木賞作家葉室麟さんの2011年作品『恋しぐれ』を読了。 江戸時代芭蕉の後に活躍した俳人でもあり画家でもあった蕪村とその弟子達を巡る物語なのだが、残っている蕪村の足跡と俳句をベースに蕪村やその弟子達が出会った人への思いや別れ、家族との軋轢、遊びへののめり込みや失敗などなど様々な出来事を上手に物語として作り上げているところに作者の力量の凄さを感じられる。今とは違った社会事情、モラルの中での恋や横恋慕などが描かれているが、蕪村や弟子達の名句とともに描かれるそれらが、人を想う素敵な日本人像を浮かび上がらせている。蕪村やその一門の事も学ぶ事もできたなかなか面白い本でした。

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2013/09/28

初・葉室麟。与謝蕪村とその周囲の画家・文人・弟子たちの悲恋7編。どこまでが本当の話なのだろう。どれも進行形の燃え上がるような恋を描くのではなく、一旦落ち着いて、或いは終わってから振り返るような、静かで、どこか客観的な語り方。なので、彼らのここでは書かれていない苦しみまでも想像の余...

初・葉室麟。与謝蕪村とその周囲の画家・文人・弟子たちの悲恋7編。どこまでが本当の話なのだろう。どれも進行形の燃え上がるような恋を描くのではなく、一旦落ち着いて、或いは終わってから振り返るような、静かで、どこか客観的な語り方。なので、彼らのここでは書かれていない苦しみまでも想像の余地があるように思います。読了後、表紙を改めて見ると感慨深いです。

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2013/09/19

俳人「与謝蕪村」の俳句を中心に蕪村・弟子・友人の切ない恋を物語として描いた連作短編集。葉室麟らしいしっとりとした作品。こんな小説を描けるのは葉室麟しかいない。

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2013/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

俳句には全然疎いし。与謝蕪村が俳人とは知っていたけど 絵も描いた人なんだと驚き、ましてや高名な弟子の方々も知らない でもね、小説だもの、葉室麟さんだもの、面白いよねと 蕪村と、弟子たちや娘の、それぞれの恋を書く短編なので 最初の頃は、少し物足りないような気もしたのだけど ひとつづつのお話が、最後の蕪村のお話につながり 蕪村の人間味とやさしさ、弟子や娘の苦しい恋 それぞれが、淡々と静かに、苦しいくらいの恋心を語られている やさしい時代短編小説でした でも、やっぱり葉室麟さんの長篇の方が今のところ好きだな

Posted byブクログ