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歴史と戦略の本質(上) の商品レビュー

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2011/04/20

論文集なので一冊を漠然と通読するのではなく、興味あるものに絞ってていねいに読みこみましょう。註釈にある文献にまで視野を広げなければもったいないです。ポール・ラーエの論文「教育者トゥキディデス」が心地よく。。 冒頭、オーデンの詩を引いています。 祖国を追われたトゥキディデスは知...

論文集なので一冊を漠然と通読するのではなく、興味あるものに絞ってていねいに読みこみましょう。註釈にある文献にまで視野を広げなければもったいないです。ポール・ラーエの論文「教育者トゥキディデス」が心地よく。。 冒頭、オーデンの詩を引いています。 祖国を追われたトゥキディデスは知っていた 言論が何ほどの事を言えるのかを 民主主義が何なのかを 独裁者が何をするかを 年老いた廃人が 何も答えない墓石に繰言を言うのを。 あの人の本は何もかも明らかにした 理性の灯が吹き消されてしまうのを 苦難が社会の習い癖となる事を 失政も悲運も又然りという事を。 ぼくらはそういう事をまた何から何まで味わう定めにある。 -オーデン 1939年9月1日  (訳文は中桐・福間編『オーデン詩集』1993より) 思い半ばに過ぐ。 個人的には、トゥキディデスを読まぬものに政治家の資格なし、といいたいところです。もちろん、歴史を学ぶ人は須く! ラーエ曰く、 およそ士官学校とか軍の大学の学生や教官、政治の世界を志す人々は誰もが『戦史』を読まなければならない。無論、一読に留まらず二読三読と、一度読んだら少し間をあけて読み返すことを繰り返すことが望ましい。(p.184) と。

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2011/02/25

 人は歴史から学び、様々な困難や失敗を回避しようとする…等と言う事はない。人々は繰り返し同じ過ちを犯し、過去から学習すると言う事はないかのようである。近代史を見てもそれは明らかなように思える。本書は著名な戦略研究家ウイリアムソン・マーレーやマイケル・ハワード、そして米海兵隊ポール...

 人は歴史から学び、様々な困難や失敗を回避しようとする…等と言う事はない。人々は繰り返し同じ過ちを犯し、過去から学習すると言う事はないかのようである。近代史を見てもそれは明らかなように思える。本書は著名な戦略研究家ウイリアムソン・マーレーやマイケル・ハワード、そして米海兵隊ポール・ヴァン・ライパー将軍らが、軍事歴史学の観点から最善の道とは何かを模索した日本では稀有な著作である。それにしても有能な軍事専門家とは極めて教養が深く、差別意識や偏見を排除して冷静に事象を分析できる人物であらねばならないと言う当然の事を改めて認識させられた。それが理解されていない現代日本人の軍人像が如何におかしなものであることか。差別意識を持ったまま、差別を批判する多くの日本の自称知識人の駄文は読むに値しない。「頭脳は兵器、書籍は弾薬」と言うポール・ヴァン・ライパーの格言はしびれました。原書も読んで見ようかしらん。

Posted byブクログ