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私の西域、君の東トルキスタン の商品レビュー

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2021/07/11

王力雄氏とオーセル氏、このご夫婦の書物は重要かつ重厚でそのボリュームだけでも圧倒されるし、ここに述べら記録され記憶され記憶を求められる内容はそれを上回る重量だ。 日本語版2011年出版、、今10年後の新疆ウィグルは、ムフタルの楽観を指摘しより困難な状況を予測していた王力雄も驚愕す...

王力雄氏とオーセル氏、このご夫婦の書物は重要かつ重厚でそのボリュームだけでも圧倒されるし、ここに述べら記録され記憶され記憶を求められる内容はそれを上回る重量だ。 日本語版2011年出版、、今10年後の新疆ウィグルは、ムフタルの楽観を指摘しより困難な状況を予測していた王力雄も驚愕するような大惨事となっているではないか。読み進めるほどに、日々断片的なしかし悲劇と絶望感しかないような新疆ウィグルについてのニュースが入ってきて、気が重く、世界はこのように無慈悲なものかと何度となく、読めない日夜が続いた。 王力雄とムフタルの出会い、このような奇跡、本書原稿が中国から送り出され日本語訳で読める奇跡。この上はチベットのウィグルの香港の、パレスチナの シリアの、、全ての自由を求める人々に奇跡が起こることを祈るしかない。そんなふうにバカげた思考停止に陥ってしまうくらい、現実に押しつぶされた。 手触り優しく、美しい装丁、カバーもカバーの中も素晴らしい写真と色合いで、集広舎さんの仕事が胸熱くなる。もっと沢山の人に読まれるべきだと思う。殺劫と合わせて。

Posted byブクログ

2012/01/21

久々に読了に1週間以上かかった。最後は機内で追い込み。直感通り、読まなくてはならない本だった。漢民族である著者が、ウイグル人の友との対話形式で進む第3章から、友への手紙である第4章にかけて、読み手ひとりひとりが深く考えなければならないことが多々ある。そして何より、我々は新疆ウイグ...

久々に読了に1週間以上かかった。最後は機内で追い込み。直感通り、読まなくてはならない本だった。漢民族である著者が、ウイグル人の友との対話形式で進む第3章から、友への手紙である第4章にかけて、読み手ひとりひとりが深く考えなければならないことが多々ある。そして何より、我々は新疆ウイグル族自治区、いや、東トルキスタンで何が起こっていたのかを知る必要がある。今日現在、日本語で読める本で、東トルキスタン問題にここまで直に触れた本を僕は知らない。 本書は原著が07年の刊行で、書かれた時代背景は99~06年の頃の話である。その後、09年のウイグル暴動を受け、諸悪の筆頭であった新疆王・王楽泉が更迭されたことで、状況は多少変わっているかも知れないが、今もその問題の本質が解決したとは思いがたい。この本を日本に紹介した監修者の劉燕子氏は、再三「新疆がパレスチナ化する」という警告を発しているが、僕自身はそれよりコソボに近いと感じた。それも、コソボは西側が最終的にセルビア人と対峙したが、東トルキスタンには誰のサポートも無い、という点において、絶望は遙かに深いはずだ。 刊行してももしかしたら赤字にしかならないかも知れないこの本を、英語版に先駆けて日本語版の出版にこぎ着けた劉氏の熱意に敬意を表する。惜しむらくは、原著の数々の美しい写真が全く引用されていなかったこと(この写真を見ながら読むとまた感じ方が少し違う)なのだが、元々かなり値段の高いこの本にそんなことをしたら、とても売れる値段にはならなかっただろうから仕方ないか。 読むのに力が求められる本ではある。でも、世界の人に先駆けて、日本人がこの本を通じて、東トルキスタンとは何かについて触れる機会が増えれば良い。知ることは、問題解決の第一歩だから。それにしても作者の王力雄氏は大丈夫なんだろうか。

Posted byブクログ