街道をついてゆく の商品レビュー
声をたてて笑ったり涙ぐんだり、司馬遼太郎の世界に浸った。著者は司馬遼太郎の街道付き記者で、司馬さんに対する愛情と尊敬の気持ちが溢れる、いい本だった。
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▼「街道をついてゆく」村井重俊。2008、朝日出版。恐らく、週刊朝日など関係媒体に連載されたものではないかと思われ。司馬遼太郎さんの、週刊朝日での長期連載である旅エッセイ「街道をゆく」の、晩年の担当編集者だった著者(だから、村井さんは朝日新聞の社員さんでしょう)による、回顧エッセ...
▼「街道をついてゆく」村井重俊。2008、朝日出版。恐らく、週刊朝日など関係媒体に連載されたものではないかと思われ。司馬遼太郎さんの、週刊朝日での長期連載である旅エッセイ「街道をゆく」の、晩年の担当編集者だった著者(だから、村井さんは朝日新聞の社員さんでしょう)による、回顧エッセイです。ちなみに回顧する担当時代は6年間。「街道をゆく」でいうと、「本所深川散歩・神田界隈」から「濃尾参州記」まで。 ▼司馬遼太郎さんの小説や、何より当然「街道をゆく」のファンにとっては、外さないオモシロサの一冊だと思いました。さすが新聞記者さんの本だなと思いました(司馬遼太郎さん自身もそうなんですが。元産経新聞記者)。文章は変にこねくってなくて実に読みやすいし、センチメントや主観主張が「上から目線」ではなくて読みやすい。 ▼つまりは、「どうやって企画から実現までにいたるのか」や「巨匠司馬遼太郎はどんなふうに周囲と接したのか」みたいなことが分かる、楽屋覗き的な面白みです。 ▼僕は司馬遼太郎さんの書いたものの、本当に大ファンで、それもウン十年の大ファンで、それでもって血肉が作られてしまっていると言っても過言ではありません(少年期からですから)。ただ、だからと言って司馬遼太郎というペンネームを持っていた人が、「ヒトとして素晴らしい人格者だったのか」と言うことでいうと、別段期待も幻滅もしていません。それとこれは、ある程度は別物ですから(ある程度ってところが滋味深いんですが)。だからこの本とかで、司馬さんの優しいところとかが当然描かれる訳ですが、そういうのはどうでもいいんです。もちろん嘘では無いでしょうけれど、この本の原稿は初出段階で、司馬さんの未亡人さんや、司馬財団的な関係者が100%、「検閲」しています(笑)。だから嘘はなくっても「本当のことがフェアに全て書かれている」なんてことはゼッタイ無いんです。むしろこの本の中で、司馬さんの変人的なところ、偏屈なところがほのかに描かれているところの方が、オモシロイ。 ▼あと面白かったのは、司馬遼太郎さんが「ジャーナリスト」だったんだなあ、という感慨。マスメディア各社の人事情報から、新聞の紙面の作られ方、そして世界や日本の状況について、「我関せず」というよりは、ちゃんと目配りがあった。そういう、俗世間へのジャーナルな目線(煩悩)があったからこそ、あれだけ鳥瞰的でありながら人間臭い小説を書けたのかしらん。とか。 ▼あとは、「体力すげーなー」ということですね。結構な高齢なのに、かつ忙しいのに、あれだけの旅を実際にしているわけで。もちろんそこは、奥さんは同伴しているし、言ってみれば召使や太鼓持ちをぞろぞろ連れて歩いているようなものなんですが、とはいっても行く先は地方だし、田舎だし、そんなに居心地の良いところばかりでもなければ、移動の疲弊もあるだろうに…もちろん行くだけじゃなくて、事前の思考や資料精査など含めて思いっきり「仕事」しているわけで、やはりこの手の「多作な天才」というのは、何かの処理速度がちがったんだろうなあ、と改めて思いました。手塚治虫さんなんかもそうだったみたいですね。
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長身で朝日新聞社(週刊朝日)だけあって上から目線。みどり夫人の人間性をここまでバラすのはどうかと思うほど。預かった荷物をタクシーのトランクに入れて忘れてはイカンでしょう「p102司馬さんが走る姿を見たのは後にも先にもこの一回だけだ」しかも気づいたのは司馬先生(海外でないからまだよ...
長身で朝日新聞社(週刊朝日)だけあって上から目線。みどり夫人の人間性をここまでバラすのはどうかと思うほど。預かった荷物をタクシーのトランクに入れて忘れてはイカンでしょう「p102司馬さんが走る姿を見たのは後にも先にもこの一回だけだ」しかも気づいたのは司馬先生(海外でないからまだよかったが)。小説のファンであっても自誌の連載を(自分が担当になってから)読んでなくて、自校の有名人三浦好太郎節子を知らなかった。のちには「知ったかぶりの職人」。だが台湾では旧軍人に「敬礼は左でするものではありせん」とゲンナリさせた
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街道をゆくは全部じゃないけどだいたい読んでて、どんな感じで取材してたのかなーって気になって読んでみたけどそういうことはあまり書いてなかったな。 司馬さんがどんな感じの人だったかってことはよくわかったけど。
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「街道をゆく」はあと4巻で制覇です。 この本は、三谷幸喜の「いらつく二人」を図書館で探していて、たまたま見つけました。たまには書棚を見て回るのもいいものだ、と思いました。
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著者は司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズ担当編集者で、いわば楽屋裏回顧録。司馬の人柄が窺えて面白い。司馬は文章だけでなく喋りも上等で、夜ごとバーで盛り上がったそうだ。著者は25年にわたる長期連載のうち最後の6年を担当。司馬の死で連載は幕を閉じた。
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なんだろう。言葉にならない。 司馬遼太郎先生最後の6年間……のかけら。 でも、そのかけらは生き生きとした光彩に満ち溢れている。 司馬遼太郎、自分のような若輩者が言うのもおこがましいが、見事に生きたのだと思う。 そしてその生きたあかしの恩恵に、我々はいまだに浴し続けている。
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番記者はじめ周囲の人、取材先で出会う人々を魅了してやまなかった司馬さん。取材の裏話を読むうちに「街道〜」を読みたくなってきた。
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