代々木忠虚実皮膜 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
細野さん対談本「地平線の相談」でオススメだった本。ピンク映画の監督にしてアダルトビデオを世に出した監督代々木忠。70歳を越える今なお毎月新作を撮っている。映画より一段下に見られていたAVだが、家庭用デッキの普及で爆発的に売れ、バブル経済と重なり莫大な収益をメーカーにもたらす。売値14800円の卸値が4掛けで毎月何万本も売れたとの事。自社で海外にスタジオを作るなど金を使いまくったらしい。そんなメーカーもバブル後多くが破綻する。そんなことより監督の作品だ。一風変わったチャネリングとか精神世界のAVが伝説となっている。そんな監督も「チャネリングFUCK」の女優麻生まみに「監督にはまだ、姿形でしか表現できない悲しさがあるよね」と看破される。チャネリング恐るべし。
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「お前がお前を肯定する」 アダルトビデオを生み出したAV監督代々木忠の評伝で、本人へのインタビューなどもありながら、広くポルノAV業界の歴史を概観しています。 代々忠は映像作品の作り手として結構な評価を得ていますけど、そのジャンルがAVなので、とても微妙な心境になります。 ...
「お前がお前を肯定する」 アダルトビデオを生み出したAV監督代々木忠の評伝で、本人へのインタビューなどもありながら、広くポルノAV業界の歴史を概観しています。 代々忠は映像作品の作り手として結構な評価を得ていますけど、そのジャンルがAVなので、とても微妙な心境になります。 AV監督代々忠は、徹底的に女優に寄り添い彼女を肯定したそうです。そして映像という虚構に臨む。作品という虚構の中に事実が見え隠れする。その揺らぎを観る側にゆだねること。ポルノの映画館では、固唾を飲んでじっとスクリーンを凝視する人であふれかえっていたそうです。 以前、女性に日活ロマンポルノが見たいんだけど、TUTAYAのアダルトコーナーにあるかな?入っていいかな?なんてことを聞かれたことがあって、あそこには男性の羞恥が溜まっているから、女性には入ってほしくない、なんて答えて。 でもそれは、アダルトビデオを観ることに男性が後ろめたさを感じてるからだよね。と切り返されて、まったくその通りだと悟ったことがありました。 その後ろめたさには多分2つの理由があって、1つは商品による代替行為という点と、1つは加担行為という点だと思います。暖簾の向こうにはそんなこんなの屈折が淀んでいます。 そこに後ろめたさを持つ人は、本当に彼女たちを肯定することにはならず、不貞と知りながらも自分をごまかして観てしまうという自分勝手な言い訳は、代々木忠にはありません。自分に自分を肯定させるために、まず代々忠が肯定してあげるのです。
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