苦役列車 の商品レビュー
私小説
作者の私小説でリアリティのある内容だった。 実際にこのような待遇だったら、こういう生き方になるのかもしれないな。 でも、救いがないわけではなく、主人公なりの喜びをそこに見出しながら 生きていく姿には暗い気持ちにさせるものではなかった。 ただ、自分としては、面白さを感じる作...
作者の私小説でリアリティのある内容だった。 実際にこのような待遇だったら、こういう生き方になるのかもしれないな。 でも、救いがないわけではなく、主人公なりの喜びをそこに見出しながら 生きていく姿には暗い気持ちにさせるものではなかった。 ただ、自分としては、面白さを感じる作品ではなかった。
ゆう
『女性が読めば』
貫多クンに対する女性の解答が知りたい。
クラシカルなMK
性犯罪者の息子で中卒という引けめから逃れられない貫多、19歳。まったく住む世界が違う者のお話と突き放して読めなかった。底辺ともいうような境遇を引き寄せたのも自業自得と自己を見限る貫多の殊勝さ、そこになんともいえない哀しみを覚えた。世界の天秤は基本的に傾いている不平等なもの。苦役列...
性犯罪者の息子で中卒という引けめから逃れられない貫多、19歳。まったく住む世界が違う者のお話と突き放して読めなかった。底辺ともいうような境遇を引き寄せたのも自業自得と自己を見限る貫多の殊勝さ、そこになんともいえない哀しみを覚えた。世界の天秤は基本的に傾いている不平等なもの。苦役列車で運ばれる人もいれば、その列車を動かす人もいる。私たちは世の残酷さを知っている。 この小説からやりきれなさは感じるが絶望までいかないのは知性の窺える文章だからだろう。「おめえ」と呼びかけながらも「ぼく」と語るところは人の良さが出ていて微笑ましかったし、小説家の文章のコピーを尻ポッケに入れて人足を続けるところにきっと貫多は大丈夫だと思えた。
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芥川賞受賞した私小説だそうですが、 私は正直苦手。 読みやすいけど、自堕落さとその結果があまりにも不快でした。 結構レビューが良かっただけに、良さがわからない私って…。
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(2024/09/09 1h) ゴリッゴリの私小説。 投げやりで諦念を滲ませた泥臭い文章ながら、特有の語彙を振り回す繊細さも見せる。好きな雰囲気だった。
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読んでいてすごく共感しました。 主人公は恵まれた環境ではなかったため、何かと将来を前向きに考えない性格で、色んな出来事でギャップを感じて苦しむ様子がすごく読んでいて自分に刺さりました。日下部のような友人と出会う機会にも恵まれたのに、結局は失ってしまう。 生きていることが苦役であり、明るい将来なぞ全く夢見ていない。けど、毎日生きるために必死で働く。そんな主人公に惹かれました。
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リアルで生々しい主人公の人間像。父の犯した犯罪が大きな影響を与えているとはいえ、怠惰でだらしない性格。いつまでも続く日雇い労働とその日暮らし。苦役列車であると。 主人公がそのまま人生を転げ落ちていくのか、それとも僅かながらの他者との関わりから、上へと這い上がっていくのか、ハラハラ...
リアルで生々しい主人公の人間像。父の犯した犯罪が大きな影響を与えているとはいえ、怠惰でだらしない性格。いつまでも続く日雇い労働とその日暮らし。苦役列車であると。 主人公がそのまま人生を転げ落ちていくのか、それとも僅かながらの他者との関わりから、上へと這い上がっていくのか、ハラハラとした気持ちで読み終えた。とても楽しく読むことができた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
この小説に自らのそう遠くない将来の姿を見たという思いにとらわれる。 主人公の怠惰な人間性と落ちぶれた生活にどうしても自分を重ねてしまい、ページをめくるのが辛かった。それだけのリアリティがこの作品にはある。 静かに、冷たく終わる結末は無慈悲で残酷で、救いがない。 しかしこれは私小説であり、これが芥川賞を受賞したということを鑑みると、結果的にではあるが明るい希望のようなものを感じられずにはいられない。
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貧困を生きる。自堕落に生きる。うまくいかない人間関係と続かない仕事。それでも生きる強さ。私小説ということで、作者の無頼漢ぶりがひしひしと伝わってくる。
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中卒の日雇い労働者のお話。 すごく衝撃的なお話だった。主人公の性格がきれいにねじ曲がっていた。どんな仕事も大変だと思うが、体力仕事は、健康なうちしか出来ないから辛いなと思った。その日の生活に必死な様子が手に取るように分かる。楽しみも必要。貯金しようにも、日々の生活で疲れ果てている...
中卒の日雇い労働者のお話。 すごく衝撃的なお話だった。主人公の性格がきれいにねじ曲がっていた。どんな仕事も大変だと思うが、体力仕事は、健康なうちしか出来ないから辛いなと思った。その日の生活に必死な様子が手に取るように分かる。楽しみも必要。貯金しようにも、日々の生活で疲れ果てている。 父親が性犯罪者になってから生活が一変。何をしてくれるんだろうって思った。子供は関係ないって言うけど、周りから白い目で見られることが容易く想像できる。 そんな生活の中でも同年代の友人と呼べるような存在ができたことは大きかった。でも、相手の恵まれた境遇に嫉妬したり、執着することで、相手から疎まれて距離をとられて、結局仕事もうまくいかなくなる。 負のスパイラル。読んでいて苦しかった。将来が心細かった。けど、そういう人もいるんだなと思ってしまった。自分ももしかしたらそうなっていたかもしれない。やっぱり真面目に仕事はしようと思った。
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